三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 70』
隆二がお世話になったオーロラ観測小屋の主人が帰ってくるまで待つことにした。
ー白髭の老人ー
不思議な縁だが、彼のお陰で隆二が無事にいてくれた。
暖炉の前で並んで座り、繋いだ手は片時も離さないでいる。
隆二の携帯を借りて、明日美ちゃんに連絡を取り安否を確認した後で、GPSからスノーモービルの位置を探し出してもらい、撮影スタッフが無事に回収したと報告を受けた。
一安心してから、会えなかった時間にそれぞれが体験したことを語り合った。
明日美ちゃんのことや隆二を助けてくれた、あの白髭のご老人のこと、
そして俺を招いてくれたガラスイグルーに住む女性のこと。
揺らめく暖炉の炎が照らし出すお互いの顔を見ながら、延々と語り合った。
「臣、もいっかい…」
「ん…」
話の途中で隆二は何度もキスをせがんだ。
まるで、俺の存在を確認するかのように…
「夢じゃないよね」
「ああ…」
「今すぐ抱きたいんでしょ?」
「うん、だけど流石にここじゃな」
「また我慢させるね、臣…」
隆二の口調が優しくなった気がする。
元来優しい奴なんだけど、俺に対しては、かなり天邪鬼なところがあって、
オアヅケ食らったり、急かされたり、
隆二の手のひらでいいように転がされている自分が好きだった。
会えない時間に何かが変わった?
「臣、もう一回…」
「何度でもいいよ」
「なんならあのドアが開くまで、ずっと唇くっつけてっか?」
「ふふ…」
CHU…
「…そういえば」
「どうした?」
「あのドア、鍵が閉まってないハズなのにね、開かないんだ」
「そーなの?見てみよっか、おいで」
俺は先に立ち上がって、隆二の腰を持ち引き上げた。
「ちょっと痩せたか?」
俺がそう尋ねると、いつもなら、
「気のせいでしょ、こんな短時間で痩せるわけないし」って返してくるだろう。
だけど今は、
「臣のことが心配で、会いたくて痩せたんだ」
「しっかり抱いててよ」って返してくる。
「ん、ヨシヨシ…」
「そう、その調子でね」
うん。素直な隆二も悪くない。
何言っても可愛い奴だな、お前って。
バックハグしたまま移動してドアの前に立った。
「窓の方にもかなり雪が積もっていて、掻き分けてやっとたどり着いたからさ」
「うん…」
「ドアも雪で埋もれた部分の建て付けが悪くなってんじゃねぇか?」
「そっかな」
「ちょっと待ってろ」
「いいよ」
名残惜しそうに俺の指を離さない。
そんな隆二をなだめて横に立たせてから、木のドアを拳でおもいっきり叩いてみた。
バンッ‼︎
両手で力いっぱい押すと、固くなった雪の上をガリガリと滑ってドアが開いた。
つづく
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2021.03.29 11:44
2021.03.29 10:33
2021.03.29 10:21