三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 71』
「開いた!臣、流石だね」
隆二の手を引き二人して外に出て、辺りを見渡した。
相変わらず薄暗い極夜の雪原に動くものはない。
「風速計を見に行くって言ってたから、
すぐ近くなのかと思ってたんだ」
「近くにはいないな」
「どこまで行ったんだろね」
「どっちにしてもご老人が帰ってくるまで、ここで待ってなきゃね」
俺も、直接お礼が言いたい。
「うわ…臣、見てよ!空」
満天に敷き詰められた星々。
ホワイトアウトが空気中の不純物を一掃したのか?
澄み渡った蒼い夜空に、光輝く星たちとオーロラの饗宴が幕を開(あ)けた。
「すげぇ…」
しばらくは無言で、太古から繰り広げられてきたであろう宇宙とオーロラのショーを魅入った。
俺は決意のような想いを込めて隆二の手をしっかりと握り、はっきりと言葉にして伝えた。
「”冬恋”って歌が生まれるならさ…」
「オーロラの下で永遠の愛を誓い合う、そんな歌にしような」
降るような満天の星空が二人のまだ見ぬ未来を照らしているようだ。
相方が静かに返した。
「ずっと一緒でいいの?」
「当たり前だ」
「未来も、生まれ変わっても俺でいい?」
「いいよ」
「お前が女で生まれても、男でも、
うんと年が離れていたって、必ず見つけ出すから」
「運命ってそういうもんだろ?」
返事をする代わりに隆二は、俺の大きな手に指を絡ませて、ギュッと握り返してきた。
何億光年の星たちと光の帯は、まるでスポットライトの様に、二人の頭上に降り注いだ。
つづく
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2021.04.01 23:34
2021.04.01 14:38