三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 69』
「いた…」
足下から窓をくぐって臣が中に入ってきた。
着地の勢いでバランスを崩してよろめく臣を両腕で支えた。
そのまま床に転がり、しばらく抱き合った。
臣…
臣…
声にならない。
でも、確かに届いたんだね。
上着が冷えきってる。
臣は上から跨って、俺の顔を確かめる。
ぽつん…
涙の粒が頬に降ってきた。
「隆二、お願いだから…」
「俺を…一人にしないでくれ」
その瞬間、
心の傷が塞がった。
「無事で良かった…」
また強く抱きしめあった。
臣、ズルいよ。
俺の倍、泣いてんじゃん。
滅多に見せない、そんな脆さも好きだよ。
「…臣?」
「ん…」
「寂しかった?」
「うん…」
「俺もだよ」
「知ってる」
「じゃあ、なんでも言うこと聞いてくれる?」
「いいよ。何して欲しい?」
鼻の先に臣の顔がある。
「えっとね」
「ハチエモンみたいな口(くち)してみて」
「こうか?」
唇をにゅっと突き出した。
「へへ…」
二人して泣き笑いになる。
「されるがままの臣って、いいね」
「そっか」
お互いを引き寄せ、
長い長いキスを交わした。
つづく
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2021.03.28 20:27
2021.03.28 20:24
2021.03.28 20:21