三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 60』
視界がゼロになりスノーモービルを降りて、しばらく立ち往生している。
全身が限界まで冷えてきた。
これじゃ、隆二を探し出す前に自分がくたばっちまう。
ヘルメットも借りてくれば良かったな。
荒れ狂う強風と雪で目も開けにくい。
どこか…風が緩むまでどこか身を隠せる場所があれば。
「あ、そうだ!コーヒー持ってたんだ」
地面に座り込んで背負っていたリュックを下ろして雪を払いのけ、中からポットを出した。
手袋を口で咥えて外し、それを太ももの間に挟み、震える手でカップ型のフタを開けてコーヒーを注ぎ入れた。
冷たくなってる…
余計に寒さが増してきた。
そして猛烈な眠気が襲ってきた。
こんな所で眠ったら…
アイツを助ける前に、俺がくたばってどうするんだ…
必死に頭を左右に振って睡魔を振り払う。
びゅうううう…
「あっ…‼︎」
風にあおられてカップが飛んでいき、手を伸ばした時に太ももも開いて手袋まで吹き飛んでしまった。
「…やべぇな、俺も」
冷えたコーヒーをポットのまま飲み干し、リュックに戻してから防寒ジャンバーのポケットに両手を突っ込んだ。
目を細めて四方を見渡す。
一ヶ所だけ、ぼうっとオレンジの灯りのような物が見えた。
「建物?…いや、幻覚か」
待て、広臣…
このまま、なすすべも無くここで遭難するくらいなら…
スノーモービルもこの視界じゃ危険だ。
「そうだ!電話…」
ジャンバーの内ポケットからiPhoneを引っ張り出して、隆二の番号に掛けるがやっぱ繋がらない。
こんな自然の脅威の中じゃ、役に立たないな。
充電はたっぷり残ってる。
立ち上がってスノーモービルを探ってみた。
アンダーシートボックスが取り付けてある。
ここにiPhoneを入れていこう。
助かったらGPSを利用してスノーモービルを探せばいい。
フードをしっかり被り直して、白い空間を一歩一歩オレンジの灯りに向かって歩き出した。
つづく
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2021.02.20 04:58
2021.02.20 02:55
2021.02.20 01:21