三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 56』

ホワイトアウトが起こってすぐに聞こえたあの声が隆二だとしたら、そんなに遠くへは行ってないはずだ。



どこをどう走ってるのか?



荒れ狂う白一色の中を、注意深くアクセルとブレーキを交互に操作して、人影を探す。



「りゅうじぃ‼聞こえたら返事してくれー‼」



突然、数時間前の光景がフラッシュバックした。



ー白いトナカイを見たら、いい事も悪いことも起こるっていう、この辺りの言い伝えだー



ー急に吹雪くこともあるから、気をつけて行きなさいー



あの白い髭の老人の忠告が現実になった。



粉雪すら降ってなかったのに。



なんでこんな急に…



てか、アイツ…



隆二の奴…



気を利かせて、さっさと自分から身を引きやがって…



このまま見つからなかったらどうしよう。



ミーのマグカップだって、まだ買ってないのに…



ダメだ…



泣きそうになる。



悪いことばっかり考えてる。



「りゅうじぃ…」



ごぉぉぉぉ…



唸る風音に、俺の声も力なく消えていった。



どこにもいない…



まさか…



まさか、氷が割れて湖に…!?



つづく




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