三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 55』

「りゅうじー‼︎」



スノーモービルをゆっくり走らせながら周辺を注視しつつ、
相方の名を呼び、同時に記憶を辿る。



そう、あれは映画の完成披露試写会の席上で、ドレスアップした彼女が俺の目を真っ直ぐに見つめ、告白してくれた。



「私、登坂さんの彼女に立候補したい」



俺の返事は速攻で、かつ明確だった。



「ごめん、好きな人がいるんだ」



彼女は落ち込んだ様子もなく、笑顔で返してきた。



「そうなのね、でも私、諦めないから」



全てのスケジュールが終わって会うこともなくなれば、俺のことなんていずれ忘れるだろう。



安易にそう考えてた。



そっか。



相談って、あの時の続きを伝えたかったんだね。



お幸せにって、彼女は最後にそう言った。



本当にごめんね、明日美ちゃん。



今のこの息苦しさや、どうしようもなく溢れ出てくる不安や、
いざという時に側に居てやれなかったもどかしさを、



そんな、まるでホワイトアウトのように荒れ狂う心を鎮めて、
満たしてくれるのはアイツしかいないんだ。



「りゅうじーっ‼︎どこだ?返事してくれー!」



人影は見当たらない。



風がまた激しくなってきた。



顔に叩きつけるように容赦なく降る雪。



白の世界に呑まれていく感覚。



…どこを探せばいいんだ⁉︎



つづく

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