三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 51』
「後ろにいるのは今市さんですね、初めまして!明日美です」
「こんにちは。偶然フィンランドへ?」
「そうなんです!私もびっくりしました」
今の俺、ちょっと疑ったような物言いだった。
臣は…
後ろを振り返らない。
「あの、実は登坂さんに相談したいことがあって」
「え⁉︎今、ここで?」
臣もびっくりしている。
「俺もツレがいるし、明日美ちゃんも撮影スタッフが一緒でしょ?」
「待たせたら悪いよ」
何台かはわからないけど、少し離れた所で複数のエンジン音が聞こえる。
「この急な大雪でロケ地の変更があって、この後サーミ博物館に行くんですけど、
まだ撮影開始まで時間があるの」
「登坂さんと今市さんさえ良ければ、スタッフには先に向かってもらうから」
「俺ならお気遣いなく」
「臣、折角だから聞いてあげなよ。俺、その辺の景色撮ってるからさ」
「撮るったって、この大雪じゃ…」
俺の気が変わらない内に、二人の元から離れた。
「あれ?隆二、どこ行った⁉︎隆二‼︎」
「今市さん、ご無理言ってごめんなさーい!」
羨ましいくらいの若くて屈託ない元気な声が、遠くから聞こえた。
俺の名を呼ぶ臣の声もやがてしなくなり、
複数のエンジン音が遠ざかっていった。
スタッフが先に博物館へ向かい、臣と彼女二人っきりになったんだろう。
降り出してからまだそんなに時間もたってないのに、
大量の雪が積もってきた。
場所によってはズブズブと足を取られ、
バランスを崩しそうになる。
つづく
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