三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 49』
「臣…あのね」
「ネガティブな話ならやめとけ、聞きたくない」
きつい目で俺を見て、話を遮った。
「違うって、前に向かっていくための…」
風と共にいつのまにか雪が激しく降ってきて、俺の言葉をかき消した。
爆音が、こちらへ向かってくる。
「なんだろ?すごい音…」
「危ないから、こっちにおいで」
隙間なく降りしきる雪で、臣の表情も見えなくなった。
でも、優しい手と声が俺に纏わりつき、カラダを引き寄せられた。
この感じ、どこかで体験したことがある。
ああ、そう。
うんと小さい頃、家族で狭い道を歩いていて、
車道側に出てしまった俺のカラダに添えられ、誘導する優しい手。
危険から遠ざけるように、安全な場所へ。
親が子供にするのは当然のことだろう。
けど、今は…
爆音がだんだんと近づいてきて、俺たちの近くで止まった。
大粒の雪でよく見えない。
遠くでエンジン音とは別の、地鳴りのような音がした。
臣に抱き寄せられたまま、立ちすくんでいると、
白くて細い長身の影がこちらへ近づいてきた。
つづく
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2021.02.09 06:48
2021.02.09 06:43