三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 47』
「あ〜♪ララララララ…」
いきなり隆二がタンギングを始めた。
それは30秒ほど続いた。
聞き慣れた声が絶景に溶けていく。
ゆらゆらと雪が舞い始めたとともに歌が聞こえてきた。
-冬空に舞い散る花は 一瞬で手のひらに溶けて消え逝く-
その歌声に反応して、当たり前のように、とても自然に、俺が続いた。
-愛だけがあなたの愛が 消えない 春を待っても あなたは来ない-
冬は、空気も澄み渡り、なにもかもを鮮やかにする。
目に見える景色も、人の思いや情など目に見えないものも、
全てをクリアに浮き立たせる。
自分より先に旅立っていった、もう二度と逢うことの叶わない恋人への情念を、
冬空に淡く消えていく雪や、吐息に重ねて歌った切ないラブソング「冬空」
繋いだ手に力がこもる。
「今度さぁ…」
「うん」
「“冬恋”って歌、作ろうか?」
「どういう情景で描く?恋の始まり、それとも失恋、別れ…」
「そうだね、未来で結ばれる的な…」
「…それって」
それ以上言葉が出てこない。
“それってひょっとして、俺たちのことを歌った曲?”
-そうだよ。生まれ変わったら、結ばれたいね、臣-
-だから現世では俺、女性と結婚して子供作って育てる-
そんな答えが返ってきたら?
受けだの攻めだの、これからまだまだ二人で体験したい、分かち合いたい性の願望も、
全部が一瞬で吹き飛んで、
俺、きっと立ち直れなくなるよ。
…隆二。
つづく
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