三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 46』
ラップランド最大のイナリ湖は完全に凍っている。
1000平方kmの面積に大小からなる島が多数浮かんでいる。
果てしなく続く白い世界。
人工的な灯りがないから、夜はオーロラ観賞の絶好スポットになるだろう。
凍てついた湖面をどこに行くでもなく歩く。
「うわ、完全に凍ってるね!割れたりしないのかな?」
「スノーモービルが走る位だし、大丈夫なんだろ」
「綺麗だね!ここからも撮っとこ」
立ち止まり、隆二がiPhoneをかざして絶景を連写してる。
凍てつく空気を頬だけで感じながら、それでも繋いだ手はとても温かい。
「どこまでいく?」
「行ける所まで」
並んでゆっくり歩く。
途中で何台かのスノーモービルが側を通過した。
「そういえばLAのさぁ…」
「ロケで行った荒野?」
「そう!わかった?あそこも絶景だったね」
「メンバーバラバラになって撮影して、岩山のどこにいるのか、さっぱり分かんなかったな」
「やっと見つけても米粒みたいでさぁ」
「新曲の振り間違えて撮り直したり、結構大変だったけど、気心知れたスタッフに囲まれて楽しかった」
「また行きたいね、LA」
「隆二LA好きだもんな。行けるよ、きっと」
LAか…
「同棲すんの、LAでもいいかもな」
「あ、その話さぁ…」
「臣、忘れてるんだと思ってた」
やっぱり気にしてたか。
「忘れるわけねぇし」
あれ?
急に黙り込んだ。
まさか…
やめろよ。
ここで別れ話とか、ありえねぇぞ!
しばらく何も語らずにただ歩く。
なんて言い出すか気になって、その間もチラチラと相方の表情をうかがう。
ずっと、ずっと黙っている。
つづく
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