三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 21』
いつ降り始めたんだろう。
粉雪が舞っている。
「隆…」
焚き木の前にいる隆二の左手は、自分の胸をグッと掴んでいる。
「…胸、どうした?」
近くまできて、隆二の左手に触れた。
「雪が、降ってきた」
「そうだな」
「焚き木に溶けて消えていく雪を見てたら、思い出しちゃったんだ」
「…何を?」
「ああ、臣ってあんな風に女性を抱くんだって考えてたらね…」
え⁉︎
…いつの話?
名古屋行って連絡が取れなかった時のことか?
何も問わずに後ろから抱きしめた。
「…考えてたらね」
「…ん」
「心にピシって、ヒビが入ったんだ」
スーパーにいる時は、あんなにはしゃいでたのに。
この美しくて幻想的で静寂な白の世界に入って、
また、蒸し返したのか?
どんだけ落ちてんだよ。
女性と絡む撮影はもう、あれっきりにした方がいいな。
その小さなヒビを、俺の愛で修復できる内に、やめた方がいい。
でないと、本当に別れたいっていい出しかねない。
「臣…」
「ん…」
「なんも返さないの?」
「ソーセージ焼いて食ってる場合じゃねぇよ」
「…早くそのヒビ、埋めないと」
「変なこと言ってごめん。折角買ってきたんだから、焼いて食べようよ」
相方を正面に立たせた。
着ているダウンジャンパーのチャックを下ろした。
「え⁉︎…」
ジャンパーの内側に両手を入れて、これでもかってくらいにキツく抱きしめた。
「…ごめんな、本当にごめん」
「臣は何も謝ることなんて…」
「…もう悲しい思いはさせないから」
「仕事でしょ?」
「しっかりと明確なコンセプト持って作ってんでしょ、臣…」
「俺のつまらないワガママに合わせなくていいんだよ」
「また見せてよ、突き詰めた先にある、
臣のエンターティメントの世界を」
つづく
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2021.01.12 05:03
2021.01.12 04:11