三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 ⑦』
昼過ぎに羽田に着いた。
マネージャーと別れて早足でVIPルームへ向かった。
VIPって言っても、一般の旅行客やビジネスマンも使うんだろ?
この“ダイヤモンドプレミアラウンジ”。
自動ドアを抜けて案内係に用件を伝えると、広いフロアに通された。
人っ子ひとりいない。
平日だからかな?
にしても、居なさすぎでしょ、これ。
健ちゃん何処だろ?
フロアの真ん中辺りまで来て、手荷物を置いた途端、
後ろから強い力で引き寄せられた。
「へ?…健ちゃん、何してんの?いきなりバックハグなんかして」
いや、違う。
この香りは…
「やっと捕まえた」
「臣⁉︎」
「もう離さないから、覚悟しろよ」
「ちょっ…待ってよ!健ちゃんと一緒なの?」
「健二郎くんなら、来ねぇよ」
「こうでもしないと、お前ムクれたらしばらく会ってくんないだろ」
「だから、健ちゃんの手を借りた」
「健ちゃんに嘘までつかせて…」
「嘘なんかついてない。健ちゃん“俺、待ってるから”って言ったか?言ってねぇだろ」
「…言ってない」
「一回離してよ、臣」
「ダーメ」
「寝てないんだろ?ちょっと顔見せて」
「せっかくフロア丸ごと貸切にしたんだ。しばらく言うこと聞けって」
「貸切⁉︎こんな広いフロア…バッカじゃないの!信じらんない…」
バックハグしたままで臣は何も返さずに、2回、耳と頬にキスしてきた。
温かい吐息が顔にかかる。
そこまで来たら、次を期待してしまう。
何度も口づけしたから知っている、臣の…
甘い蜜の味…
「ふっ……ん」
されるがままに唇を合わせ、しばらくはお互いを確かめ合う。
甘くて心地よくて…溶けそうになる。
別れようなんて、心にもないこと、言える訳がない。
この唇は…
俺のもんだから…
誰にも譲れない。
つづく
2コメント
2020.12.29 00:15
2020.12.28 23:18