『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(新生40)

保育園の正面にタクシーが止まった。



臣が料金を払っている間に、隆臣が先に降りた。



背中に大きなアンパンマンのプリントがある真っ赤なレインコートを着た隆臣は、
パシャパシャと水たまりを中央突破して、保育園の前にいる警備員の正面に立った。



「おはようございます」



制帽を目深に被って目は見えないが、端正な顔立ちで、髭を蓄えている。



「あれぇ、変ねぇ」



首を傾げている隆臣の隣に、真っ赤なアンパンマンの傘をさした臣がやって来て並んで立った。



「パーパ❓」



「隆臣、パパじゃないだろ💦警備員さんに、ちゃんとご挨拶できるかな?」



「そーなの❓」



警備員は薄く笑みを浮かべながら、更に制帽を深く被りなおした。



「おはようごじゃいます」



「ご苦労様です」



臣に手を引かれて保育園の中に入りレインコートを脱いでる時も、隆臣はしきりに首を傾げた。



「パパならさっきバイバイしたとこだろ?」



「そうね!ヘンテコなの」



「登坂さん、お待ちしてました。こちらへどうぞ」



臣と隆臣は園長に導かれ、説明会が開かれる部屋へ入った。



つづく




※不定期更新です。








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