『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 スピンオフ(初めてのチュー③)
「とさかたかおみくーん」
「あーい✋」
問診票と体温計を手にした看護師さんの呼び掛けに、元気いっぱいに返してる。
可愛いなぁ。
「かのんちゃん、ひょっとしてあなたの家ってTV見ないの?」
受付に並んで座っている橘さんが、私の耳元で囁いた。
「橘さん、何で知ってるんですか?」
「うちはTVもラジオもありません」
「今どき珍しいわね。じゃあ知らないワケだ」
何のことだろ?
有名人でも来てるのかな?
都心から離れたこんな小さな街に?
…まさかね。
それらしい人といえば、あの可愛い坊やとイケメンパパくらい。
「TVも見ないのに、よくキャラクターとかしってるわね」
「教材でアニメのビデオは見てたので」
「なるほど」
看護師さんが親子に問い掛けてる。
「今日はインフルエンザの予防接種ですね」
「はい」
「では、お父さんは問診票を記入して下さい」
「たかおみくんはお熱測って下さいね」
「たぁくんお熱ないよ」
「あ、貸して下さい」
お父さんが慌てた様子で受け取った。
「じゃあお願いしますね」
看護師さんが診察室へ戻った。
「たっくん体温計ワキに入れるよ」
「おチューなのにお熱もしゅるの?」
「うん💦ほら、たっくんリンゴみたいな頬っぺしてるから、一応お熱測りましょって」
「しょーなのね!いーよ」
「それじゃパーパこれ書くから、自分でここ押さえててね」
「あい✋」
坊や、パパの隣にちょこんと座って、体温計を挟んだ腕を押さえて大人しくしてる。
お父さんが書く問診票を覗き込んで、興味津々ね。
「パーパ、パンマンとバイバイキーンも書いてくらしゃーい」
「え!?あのね💦ここには書けないから、お家に帰ってからね💦」
「ちゅまんなーい😡」
ふふ…
お父さん困ってる。
つづく
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2019.11.28 12:21
2019.11.28 11:24
2019.11.28 09:10