『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(最愛46)
女が口を開いた。
「ごめんなさい‼️私、臣くんのこと諦められなくて…ケガさせるつもりなんか…」
「俺の最愛の人は隆二ひとりだって、
何回言ったらわかるんだ⁉️」
青ざめた顔で荒い息を吐く理愛を見て、女は心底反省しているようだ。
「ごめんなさい…」
隆臣は理愛のすぐ側に座り、目に涙をいっぱいためている。
隆二に買ってもらったばかりのポップコーンケースを袋から出してきた。
「あーちゃん、パンマンのコーン食べる?
しゅぐ元気になるよ」
理愛は剛典の腕の中で、薄く笑って返した。
隆二が隆臣をぎゅっと抱きしめた。
「たっくん…あーちゃんお話できないって」
「そーなの?…パーパも泣いてるのね」
臣はみんなの様子を見て下唇を噛み、女に言った。
「とにかく警察に連れていくから」
「それだけは…警察沙汰になったら私、もう芸能界で生きていけない…」
臣は冷たく言い放った。
「自業自得だろ?」
すると、剛典の腕の中から弱々しく白い手が上がった。
「…私なら、大丈夫ですから…」
「どうか…警察沙汰だけは…勘弁して…あげて下さい」
「理愛!!喋らなくていいから…」
剛典が理愛を包み込んだ。
「剛典さ…ん、私の…不注意…なの」
「誰も…責めないで…」
臣は納得いかない様子だったが、理愛の気持ちを優先して、もう二度と臣達に付きまとわないと約束させ、女を解放した。
ミュージアムがある複合施設の駐車場に、銀色に光る流線型の車が入ってきた。
「では、すぐに発ちます」
「岩田様、理愛さんの様子はまたこちらからご連絡致します」
「…お願いします」
移動式のカプセルに寝かされ、どこにも管が繋がってない酸素マスクのような物が理愛の口元に装着された。
剛典の手から白く美しい手が離れた。
突然の別れに一同は茫然と立ち尽くすしかなかった。
「…乃愛や理太になんて言い聞かせたら…」
「がんちゃん、すまない…」
臣が剛典の肩を支える。
「あーちゃん…だいじょぶよね?パーパ」
隆臣にそう聞かれても、隆二は返す言葉が見つからなかった。
完
ご愛読ありがとうございました。
NEXTストーリー「新生」の更新までしばらくお待ち下さい。
5コメント
2019.09.17 06:55
2019.09.16 21:34
2019.09.16 19:26