『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(最愛30)
その日の昼頃、臣と隆二は名古屋にあるアンパンマンミュージアムにやって来た。
隆臣がどうしてもアンパンマンに会いたいと言ってるので連れていくと、理愛から隆二に提案があった。
入り口付近で待っていると、理愛が隆臣の手を引いてやって来た。
「たっくん!」
「あ~!!パーパとおとーしゃーんら♪」
理愛の手を離れ元気に駆け出してきた。
隆二が高く抱き上げた。
「たっくん、会いたかったよ」
「パーパ!!くしゅぐったいのね」
「たっくん大丈夫だった?知らない女の人が来たんだって?」
「おばしゃーんのこと?こんにちわしただけよ」
「良かった…がんちゃんの実家にまで行くなんて」
隆二は隆臣の頬にキスしたまま目を閉じて動かない。
「すみませんでした。私がついていながら…」
「理愛、悪かったね。それにしても、アイツ、ふざけんな!!くそっ」
臣は苛立ちを隠せない。
隆臣だけがどこ吹く風で、隆二にすりすりされながら臣の顔を覗きこんでいる。
「おとーしゃーん?おこなの?」
「ああ、隆臣、ごめんな」
臣は隆臣の頭をヨシヨシと撫でて、隆二ごと大きく包んだ。
「臣💦理愛ちゃんがいるのに…」
「いいだろ!久しぶりに家族が揃ったんだから。なぁ、隆臣」
「パーパと、んちゅっ-☆したの?」
「ん♪いっぱいしたよ」
「臣…」
「らぶらぶね♪」
「"最愛の人"だからね。アイツにもそうハッキリ伝えたのに」
臣は明らかに隆二に向かってそう宣言した。
「採取したもの、お渡し下さい」
理愛が三人の側で微笑んだ。
「今渡していいの?」
「母星の医療スタッフも連れて来ました」
隆二が肩に掛けていた大きめのショルダーバッグを降ろし理愛に手渡すと、何処からともなく銀髪で長身の男女がこちらに近づいてきた。
理愛からバッグを託された。
「お預りします」
「お願いします」
すぐにその場を離れようとしたスタッフに、隆二が声をかけた。
「あ!待ってください」
「何か?」
「一つ、ハートが書いてある容器が入ってます。それが多分"最良"だと」
「一つということは、混ざったんですね?
承知しました。急いで持ち帰ります」
「よろしくお願いします」
臣に包まれながら、隆二は隆臣ごとペコッと頭を下げた。
つづく
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2019.08.17 09:24
2019.08.17 04:14
2019.08.17 03:26