『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(最愛29)
「お…おばさん!?」
厚めのファンデに真っ赤なルージュをひき、長いマツエク。
完璧なメイクをしたにも関わらず、"おばさん"呼ばわりされたことに動揺している。
「あ、あのね!隆臣くん…」
「よく見て‼️どう見てもお姉さんでしょ?」
「おばしゃーんじゃないの?」
「あなた?そこで何してるの!?」
邸宅の方から理愛が銀髪をなびかせ駆け寄ってきた。
「し、しまった💦じゃあ隆臣くん、またね!」
「おばしゃーん、もう帰るの?」
理愛の声を聞いて、乃愛も鯉の餌を放り投げ、隆臣の側に走ってきた。
「たぁくん!誰かいたの?」
「あのね!知らないおばしゃんよ」
理愛が駆け寄り、ひしっと隆臣を抱きしめた。
「あーちゃん、どしたの?苦しいよ」
「ママ、お顔青いよ?」
「良かった、無事で…」
「広臣さんが言ってた女性(ひと)ね…危なかった」
理愛の胸に顔を埋めていた隆臣が、顔を上げて言った。
「あーちゃん、あのおばしゃん誰でしゅか?」
「ううん、いいのよ。隆臣くんの知らない人だから」
乃愛が少しムクれて、抱き合う二人を見ている。
「ママもたぁくんが可愛いのね😡」
「あーちゃん…もういい?苦しいのょ💦」
ハッとして理愛が隆臣を離した。
「ごめんね、隆臣くん」
女が去った方を見ながら、理愛は独り言のように呟いた。
「あなたには指一本触れさせないから、安心して」
その美しい手は強い意志をもって、隆臣の小さな手を握りしめた。
つづく
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2019.08.16 23:53
2019.08.16 15:22
2019.08.16 08:37