レンタ彼氏『OMI43』
サエコと別れて帰路に就いた。
最寄り駅に到着すると22時を過ぎていた。
線路づたいの歩道を通り、あの公園に差し掛かった。
前も後ろにも人影はない。
公園の中を通り抜けた時、ゆっくり影が動いた。
「お帰り、遅かったな」
「臣くん…待っててくれたの?」
「約束したろ?…おいで」
彼に誘われるまま、その腕の中に飛び込んだ。
「今日も家にくる?」
「そだね、コンビニ寄っていい?」
「いいよ」
ふと、彼の首筋に手を伸ばした。
「傷、大丈夫?」
「大したことないって」
間近でその美しい顔を見つめる。
「今日もハードだった?」
「うん、久しぶりの現場だったから、ちょっと気合い入れすぎた」
「そう…」
それ以上は何も聞かないことにした。
その方がいいと思った。
「ねぇ?」
「なに?」
「キスして」
「ここで?」
「うん」
「いいよ」
彼は私の髪をかきあげ、唇を合わせてきた。
ゆっくりと、優しく愛撫するように、深いキスを堪能する。
「続きは後でな」
「そうね、帰ろっか?」
「なぁ?」
「なに?」
「辛くても生きてると、いいこともあんだろ?」
「うん」
手を絡ませて歩き始めた。
「明日も迎えに来て欲しいか?」
「うん!待っててくれる?」
「毎度あり」
to be continued…
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