『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(最愛⑥)
遠くで雷が鳴っている。
レストランの窓から乃愛が空を眺めている。
「ねぇ、ママ?」
振り返ると、剛典が理太のオムツを替えている真っ最中だ。
すぐ隣で隆臣がその様子を、物珍しそうに覗きこんでいる。
乃愛は理愛を探す。
向こうから世にも美しい人影が現れた。
「剛典さん、タクシーもうすぐ来るって」
「そう?じゃあオムツ替えたらお家に帰ろうね、理太」
「たいたい😡」
「いてて💦髪引っ張らないで、理太」
「パーパーブーブー😠」
「リーリー可愛いね♪」
隆臣は理太の側でニコニコしている。
「やんちゃだけどね💦」
「誰に似たのかしらね?理太」
剛典の隣に来て、優雅に頚を傾げた理愛に、乃愛がまた呼び掛けた。
「ねぇ、マーマってば‼️」
「ん?どうしたの?乃愛」
「早くこっち来て‼️」
「なにか見えるの?」
理愛が銀髪を揺らし、レストランの窓際にやって来た。
「あそこ見てぇ!お空光ってるでしょ?」
「ほんとね、あの辺りは隆二さん達が…」
「るーたん大丈夫かなぁ?」
「なにか見えたの?」
"なにか見えたの?"
理愛は時々乃愛と不思議な会話をする。
「ん~💦わかんないけどぉ、気になるの」
理愛は窓際の椅子に座り、乃愛を膝に乗せ、巻き毛をくるくるしながら優しく尋ねた。
「隆二さんのこと、好き?」
「だぁい好きよ、ママ」
「そう…」
「しゅぐにママくらいおっきくならないかなぁ?」
「おっきくなってどうするの?」
「おっきくなったらね、るーたんを迎えにいくのよ」
「迎えにいってどうするの?」
「膝枕してあげるの」
「悲しそうだから」
「そうなのね…」
乃愛が空を見上げると、大粒の雨が落ちてきた。
「るーたん…」
つづく
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2019.07.11 09:15
2019.07.11 09:11
2019.07.11 05:15