三代目❤夢小説 『NAOTO編28』
今秋に入園予定の男の子から得た不審な女の目撃情報を皆に伝えた後、直人と一緒に再度男の子の家を訪問したが、新たな情報を得ることはできなかった。
夜も更けてきたので、直人はまりあを自宅まで送った。
「せっかくのサプライズ、台無しにしちゃってごめんね。また穴埋めするから」
「そんな…素敵にドレスアップしてもらって、式場に行けただけで充分幸せです」
「直人さんこそ、大丈夫ですか?」
「大丈夫って言いたいとこだけど…」
「隆臣は俺達三代目にとっても大切な子供なんだ」
「…今は不安で胸が押し潰されそうで…ごめんね」
「直人さん…」
まりあはそっと直人の手の甲に自分の手を重ねた。
「まりあちゃん…」
「…大丈夫です。隆臣くん、必ず見つかりますよ」
「…ありがとう」
「明日は保育園でも目撃情報がないか、保護者の皆さんに聞いてみます。何かあればすぐにLINEしますね」
「よろしくね」
「じゃあ、失礼します」
タクシーを降り傘を広げ、自宅マンションに戻ろうとして、まりあはハッと足を止めた。
タクシーの中から見送っていた直人は、まりあがその場に固まっているのを見て、その視線の先をたどった。
少し離れた通りの角に、傘もささずにこちらをじっと見ている男がいる。
雨で視界が悪いが、よく目を凝らしてみると、見覚えのある整った顔…
細身で長身の男は、まりあの同僚の保育士、
碧(あおい)だった。
つづく
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2018.08.01 01:56
2018.07.31 23:47