ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission 8-②
「夢を見てた」
ICUから特別室に移った恭介は隆二に付き添われ、穏やかな時を過ごしている。
「どんな夢?」
「お前とクルージング中に船が転覆して、漂流するんだ」
隆二は優しく答えた。
「あんまり穏やかじゃないね」
「それで?」
「二人して無人島にたどり着いた」
「そりゃ大変だ、食べ物も着替えもない」
「それが不思議なんだ」
「ん?どうなんの?」
「無人島なのに小さなコテージがあってね」
「うん」
「ワインや食料なんかも備蓄してある」
「へぇ」
「助けが来るまで待とうってお前が言うから、しばらくそこで暮らすことになった」
「それで?」
「食事もしないで、貪るように愛を確かめあって…」
「…」
「気がつけば空に大きな月が上っていた」
「気がつけば…って二人とも何も着てないんだ」
「そうだよ」
「それで?」
隆二は移植が済んだ恭介の手を静かに握りしめた。
「…今みたいにお前が俺の手を握り甘い声で囁くんだ」
「…俺、なんて言ったの?」
「恭介、愛してるよ」
手術からまだ日が経ってないからか?
火傷のショックが大きかったのか?
どこか寂しげな恭介の言葉を聞いて、隆二は胸が熱くなった。
to be continued…
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2018.06.30 10:56
2018.06.30 10:54
2018.06.30 10:16