『W旦那+(プラス)』第166話 三代目妄想劇場
翌日、臣と隆二が住むマンション近くの公園に3人の姿があった。
草むらにビニールシートを広げ、臣と隆二、真ん中に隆臣が寝転がっている。
抜けるような青い空、丘の上にある桜の木が満開になっている。
季節はもう春本番だ。
青空の中に薄く月が浮かんでいる。
臣と隆二は何も言わず目を凝らして月を見ていると、一瞬流れ星のようにキラッと光って消えるものがあった。
隆二「臣…見た?」
臣「光ったな」
隆二「理愛ちゃんの宇宙船だったりして」
臣「そうかもしれないね」
すると、真ん中に寝ている隆臣が空を指差して、
「あーちゃん」と言った。
隆二「あ…あーちゃんってマーマのことだから、やっぱ今の理愛ちゃんだ」
臣「だとしたら、スゲーな」
隆二「たっくんは新人類だって言ってたし…」
「なんか特殊な能力があるかも?」
臣「…俺は元気に育ってくれればそれでいいよ」
隆二「…なに?そのいいパパぶり」
臣「んだよ。文句あっか?」
隆二「文句はね…ちょっと耳貸して、臣」
臣「おっ!やる気かよ」
臣は左手をつき、上体を起こして、隆二の方へ顔を近づけた。
隆二は臣に軽くキスをして、
「愛してるよ」と言った。
二人の下で隆臣が「パーパ」と言って、両手を上げて笑っている。
臣は耳まで赤くなり、
「外だし…隆臣見てる前で…」
隆二「うわっ!珍し、めちゃ照れてる」
臣「るせっ!人をからかうのも程々に…」
すると隆二は隆臣の左頬にも軽くキスをした。
臣「あっ!抜け駆けすんな!」
隆二「ところが、これファーストキスじゃないんだよね」
臣「え?どういう意味?」
隆二「たっくんのファーストキスは直人さんに奪われちゃったよ」
臣「いつの間に…」
隆二「あ、でもね、たっくんの唇へはまだだよ」
一瞬間があり、臣と隆二は互いに見つめ合った。
End
次回、最終話です。
4コメント
2018.03.17 03:55
2018.03.17 03:07
2018.03.17 02:53