『W旦那+(プラス)』第42話 (寿司屋③)三代目妄想劇場
「首見せてみ」
顎を上に上げて、臣の方を向く隆二。
隆二の首をゆっくりと触り、目でも確認するが、どこにも噛まれた後はない。
「綺麗なもんだよな」
「でしょ?」
「やっぱ俺悪い夢見てたんだって…」
「そもそも理愛ちゃんが吸血鬼だとしたら、5年も一緒にいるのに、何で今まで一度も血を吸ってこないの?」
「確かに、最近だよな。あいつに変化があったのって…」
「でもさ」
「ん?」
「空港で見た時のお前の顔色ったら…ほんとに血が足りないような、生気のない色してたよ」
「あの日…体がだるくて力も入らなくて…
一睡もしてこなかったから、寝不足からきてるんだと思ったんだけど」
「なんか違う方法で血を抜かれたとか」
「なんの証拠もないのに、そこまで彼女を疑うのも可哀想だよ。今まで俺たち何も問題なく暮らしてきたのに…」
隆二の言葉を聞いていて、何か思い当たることがあったように臣の目が大きく見開く。
「ちょっと待って隆二」
「あの一日中ぼうっとしている理愛に大きな変化があったのっていつ頃からだっけ?」
「ええっと…いつだろ?」
「パリに行く前のメンバー飯の後位からじゃない?」
「その頃、俺たちの周辺で起きた出来事って?」
「……」
記憶を辿っていた隆二も大きく目を見開いた。
二人が目を見合わせ、お互いを指差して大声で叫んだ。
「がんちゃん⁉︎」
End
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