『憂鬱②』(続•臣隆妄想劇場67)ショートバージョン

隆二「やっぱりいたよ…寒いのに風邪引くつーの…」



隆二はダウンジャンバーを羽織り、急いでマンションを出た。



すっかり日も落ちた公園のブランコに、臣はコートのポケットに両手を入れ、丸くなって座っている。



隆二は音を立てず臣の背後に回り、ポケットの中で温めておいた掌(てのひら)で、そっと臣の両頬に触れた。



「隆二…いつの間に?」



振り返った臣の表情を見ると、すぐに理解した。



隆二(うわっ…こいつすげー落ちてる…)



臣は冷たい手で、頬に添えられた隆二の両手を握る。



「こんなに冷えて…臣は自分ん家(ち)への帰り道、忘れちゃったのかな?」



「んなワケねーし…」



隆二(機嫌も良くない…)



「臣!早く帰ろっ!今日はカレーとハンバーグだよ」



隆二は事前に、今日キスシーンの撮影があると聞いていたので、



こんな事もあろうかと朝早く起きて、臣の大好物を下ごしらえしておいた。



臣「…ん」



隆二は、ゆっくり立ち上がった臣の左手をポケットから引っ張り出し、しっかりと恋人つなぎして歩き出す。



臣「誰かに見られても知らねーから…」



隆二「そん時はそん時だよ」



臣「……」



続く

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