『夢の先へ①』(続・臣隆妄想劇場32)
二人が日本へ帰国してから2週間が過ぎ、
次のツアーに向けて、リハーサルが続いていた。
「ファルセットの伸びといい、声の艶も増して、最近二人とも凄くいいね。」
「私生活が充実してるんじゃない?」
リハーサルを見ていたプロデューサーが、
マネージャーに話しかけた。
(確かに、最近生き生きして、仕事も精力的にこなしている。)
(そろそろ、社長の許可をとって公にしても…)
マネージャーもそう思いながら、リハーサルを見ていた。
「で?いつ結婚するん?」
遅めの昼食をとっている時に、健二郎が唐突に切り出した。
口に含んでいた水を吹き出しそうになる。
隆二「なっ…なにをいきなり…」
健二郎「お前、俺が何も気づいてへんと思ってたんか?」
(健ちゃん…)
健二郎「最近ペアリングも嵌(は)めてるし」
隆二「えっ⁉前から臣とは色々シェアしてるでしょ?」
健二郎「やめとけって!お前嘘つけん性格やねんから」
(…健ちゃんスゲー…)
健二郎「っていうか、ペアリングしてる時点で、ほぼメンバー全員気づいてるやろ」
隆二「そ…そうなの?」
健二郎「何年一緒におると思てんねん」
隆二「……」
隆二はその時、ふと思った。
急に降って沸いたような、あのパリ行きの話…
ひょっとして、全て理解していたNAOTOさんの計らいだったんじゃないかと。
隆二の心の声に答えるように、健二郎が言う。
「二人が海外に行ってる時にな。それぞれがインスタに上げた写真で、二人とも何か思い詰めたような暗い顔してたのがあってな。
リーダー達、心配しとったんやで」
(やっぱりNAOTOさん、わかってて…)
深いメンバー愛に、隆二は感謝の気持ちでいっぱいになった。
健二郎「まぁ、いいんちゃう?それも文化やと思うで!」
隆二「健ちゃん、否定的じゃないんだ…」
健二郎「たまたま好きになった奴が男やったっちゅうだけの話やろ?何が悪いねん」
(すげー!健ちゃん…)
(やっぱ神だわ…)
「臣ちゃんも言い訳ヘタやからな!全部バレてるって、隆二から忠告しといてやれよ」
「うん…わかった」
急に気持ちが軽くなった。
End
0コメント