『夢の先へ②』(続・臣隆妄想劇場33)


臣と同居するマンションで、いつもの定位置に座る二人。



ソファーに隆二が腰掛け、隆二の両足の間にすっぽり臣が入り、床に直接座りTVの方を向いている。



臣「えっ⁉バレてたの?」



隆二「おれマジで健ちゃん好きだわ」



臣「なにっ?」



怪訝そうな顔で振り向く臣。



隆二「ちがっ…!そういう意味じゃなくて…」



臣「なに焦ってんだよ?」



ふっと、イタズラっぽく笑って言う。



おれ、最近いいように遊ばれてる…



臣「…そっか。NAOTOさんわかってて…」



臣「やることが、粋でカッコいいな」



隆二「だね」



あの、パリの一夜がなければ、俺達もまだどうなってたかわからない。



離れていた時に味わった孤独。



久しぶりに再会できた時の喜び。



異国の地という、非日常的なシチュエーションが、



俺達の躊躇(ちゅうちょ)する気持ちを後押ししてくれた。



臣「隆二?」



隆二「ん?」



臣「早く!あーっ」



隆二「えっ?なに?チュー?」



臣「ちげーよ!葡萄っ、早く!」



あっ…そうだ!



今年初物の、巨峰の皮剥いてたんだ…おれ



隆二「皮ごと食えばいいのに」



臣「いいじゃん!別に。あーっ」



横顔だけ見せ、長い睫毛を伏せて、大きな口を開ける臣。



「はい!あーん」と、食べさせる隆二。



自分は皮ごと口に放り込む。



「種あるよ」



モゴモゴと隆二が言う。



臣「うん…甘っ…」



隆二「美味しいっしょ?」



また横顔を見せて、目を閉じる臣。



臣「ん!」



隆二「また剥(む)けって?」



臣「違うよ!チューも」



赤くなる隆二。



「ほんと、臣ツンデレなんだから…」



隆二からキスをする。



唇を離すと臣は、眉間にシワを寄せ、



「ん~っ…甘い…」と言った。



隆二「葡萄食ったとこだもん」



臣「だな」



そう言って、何事もなかったように前を向き、



テーブルの上に置いてあるリリックスピーカーを弄(いじ)る臣。



「臣?」



「ん~?」



「べーってして」



「ん?べーっ…」と、また振り向き、舌を出す臣。



「紫色に染まってるよ」



明るく隆二が笑う。



それを見て臣が



「お前は?おれ色に染まる?」



と言って、またキスをしてくる。



もうっ…甘過ぎ…




End

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