『幸福』(続・臣隆妄想劇場15)修正版

(隆二サイド)


「俺は…お前だけなのに」


あれから臣の言葉がずっと、


頭の中でリピートしている。


俺、あいつに酷いことばっか言って…


サイテーだよな…


なのに…何だろ?


顔がニヤける…


「なにニヤニヤしてんの?」


うつ伏せでソファーに寝そべって、臣が聞く。


リリックスピーカーを弄(いじ)っている。


隆二「気のせいでしょ?元からこんな顔だよ」


臣「知ってるけど」


隆二「は!?」


臣「着替え取りに行くんだろ?早く行ってこいよ」


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(隆二サイド)


隆二は、定期的に自分のマンションへ着替えを取りに帰っている。


自宅マンションのクローゼットから衣服を出しながら、チラッとベットを見る。


あの夜のことが甦る。


あいつ…エロ過ぎ…

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一週間分の着替えを持って、臣と同居するマンションに戻ると、


洗面所で臣が髭を剃っていた。


後ろから音も立てずに近寄り、臣の耳元で、


「エッチ」と囁(ささや)く。


臣「はぁ⁉️」


臣「おれ今ゲーヒーちゃん剃ってるだけなのに、どこが?」


隆二「るせーっ!臣、エロい」


臣「なっ…いつの話?どのシーンの俺?」


臣「気持ち悪いから、はっきり言えよ!」


隆二「誰が言うか」


臣「……」


隆二「先に出るよ!行ってきます」


シェービングジェルを顔につけたまま、


右半分を剃り終えた状態で固まり、


(あいつ…意味不明…?)


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(隆二サイド)


結局、あの大阪の夜は、


同行していたAKIRAさんと夜通し飲んでいたそうで、


証拠写真がインスタにPOSTされていた。


何で信じてやれなかったんだろ?


…あの日から、俺ヤバいよな。
  

マジであいつに惚れちゃったのかな?


ソロのMVで共演している恋人役の女性にすら、


ヤキモチ焼いている自分がいる…


くそっ…臣のやつ、あんなエロいシーン撮ってからにぃ…



…何か


あいつと付き合ってる証が欲しいな…


…結果、やたら臣を束縛しようとする。


「臣、キスは?」


「臣、ハグして」


「臣…手つなご♡」


最近完全に女子化してるよ…おれ…

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(ある日の二人の会話)


臣「お前さぁ?別れるとか言ってなかったっけ?」


隆二「そんなこと言った?覚えてないな」


臣「ホントに覚えてないの?」


隆二「えっ?臣、俺と別れたいの?」


臣「いや…」

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(臣サイド)

一緒にいる時は、隆二に髪を乾かしてもらってるけど、


あいつ最近目に見えて変わってきた。


「臣〜ぃ!おいで〜♡ブローしてやっから」


何だろ?


俺にめちゃ尽くしてくれる。

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(隆二サイド)


「どうしても俺と…そうなりたいのなら…
俺達の…あの部屋でしてよ…」


思い出すだけで、汗が吹き出る台詞…


すぐにそうなっちゃうのかと思ってたけど、


そうでもないみたい…


お互い失うものが多くて、踏み出せないでいるのかもね…

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いつものソファーに二人で座り、


風呂上がりの臣の髪に、顔を埋めている隆二。


「くん…」


あー…いい匂い♡


臣「つむじの匂い嗅ぐのヤメろ〜…」


TVの方を向いたまま、臣が言う。


隆二「臣、アイス食う?」


臣の耳元で聞く。


臣「食う」


隆二「ん♡ちょっと待ってて」


耳にキスをして立ち上がる。


フリーザーをガサゴソやっている隆二を見て、


(最近、めっちゃイチャイチャしてくるな…あいつ)


(こっちが恥ずかしいわ…)


まぁ…黙っていなくなるよか、この方がよっぽどいいけど…


キスされた耳の辺りを触りながら、


少し照れたような顔で、口を尖らせる臣。




夜はもっと甘かった。


ベットに入ると、隆二がすぐに背中に張り付いてきて、


朝まで離してくれない。


「甘〜い!」と声に出す臣。


すぐに「ハンバーーーグ♡」と返す隆二。


(ダメだこりゃ…)


(悪い気はしないけどね)


クスッと笑う臣。



隆二「オオカミ君。指輪くれたら、してもいいよ!」


臣「しない」


隆二「いーの?」


臣「しないったら、しない」


隆二「やせ我慢?」


臣「男に二言はない」


隆二「それならそれでいーよ」


隆二「おやすみぃ!ちゅ♡」


(もうっ!くすぐったいな…耳周辺はやめろ!)


背中に隆二の温もりを感じながら、赤面する臣。


真夏に密着されてるよ…おれ

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《隆二、おめでとう㊗️ by 健二郎》


《今市くん ハッピーバースデー✨ by ELLY》


メンバーからのLINEで気がついた。


(あっ…おれ今日誕生日だった)


「はい、これ」


なんの前触れもなく、


臣が白い小さな手提げ袋を手渡す。


「えっ?いいの?ありがとう」


「ん」


「開けてみていい?」


「いいよ」




「えっ⁉️指輪…」


小さい箱の中に、クロムハーツのゴールドリングが入っている。


「俺とペア」


「…まじで?」


「うん」


「でも、左手はすぐバレっから、右手の薬指でいーんじゃない?」


「臣…手ぇ見せて」


「同じだろ?」


「うん…」



そうじゃなくて…


あの左にしてたリング、外してある…


「臣…あのリングは?」


「…だって、お前嫌なんだろ?」


「うん…」


「そういうことだよ」


自然と口元が緩む隆二。


「ん…」と、口を尖らせ、前に出す臣。


「へ?」


「お礼は?」


臣の首にまとわりつき、キスをする。


そのまま狭いソファーに倒れ込む。


臣「めっちゃ甘い」


隆二「気のせいでしょ?」


(あっ!俺さっきアイスの実食ったんだ…)


またキスをして、抱き合う二人。


臣「ん…やっぱ甘い…」


隆二「ずっとこのまま続けばいいね…」


臣「……」


隆二は、臣の心の葛藤を知る由もなかった。



End

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