『理性②』(続・臣隆妄想劇場14)
次第に隆二が大人しくなり、
そっと唇を離してみる。
「はぁ…は…ぁ」
お互いに息づかいが荒い。
「…隆二?」
全身に酒が回ってるようで、
臣の腕の中にいる隆二は、ほんのり赤く染まり、
息をのむほど色っぽい。
「はぁ…きつ……い」
「もういいだろ…帰れよ…臣」
臣は下唇を強く噛み、悲しげな表情を浮かべる。
…どうすれば信じてくれんだよ?
本能的に臣が行動を起こす。
隆二の首に唇を押し付け、
場所を変えながら、音を立て強く吸う。
「⁉︎…なに…すんだよ…やめろ!」
唇が離れたと思ったら、隆二の上体を少し起こし、Tシャツを剥ぎ取る。
えっ⁉
アルコールのせいで、状況を把握するのに時間がかかる。
目を凝らして見ると、
ピアスを激しく揺らしながら、
臣もTシャツを脱ぎ捨てている。
お互いに上半身ハダカのまま、
隆二を強く抱き寄せた…
あまりの衝撃で、
隆二の体に電流が走る。
今まで何度も唇を重ねてきたが、
こんな風に体を重ねたことはなかった。
「は…なせよ…臣…」
「俺は…お前だけなのに」
「信じてくれないなら、こうするしかないだろ…」
また唇を合わせ、舌を絡ませてくる。
いつもしているのとは、まったく異なる激しい口づけ…
そんなことはしないって言ってたのに…
…あ…でもそうじゃないな…
どこかでこうなることを望んでたのは、
俺の方かもしれない…
しばらく一方的で強引な愛撫が続き、
「はぁ…」と臣が一呼吸する。
やっと自由になった両腕を、
ゆっくり臣の首に回して、隆二が言う。
「臣…ひとつになりたいの?」
「そうするしか…」臣が答える。
「そうなったとして…今まで通りに…歌える?」
「……」
返事はない。
きっと今まで通りってワケにはいかない。
だから、そこは…
絶対に越えちゃいけない一線なのに…
しばらく見つめ合う二人。
一瞬、険しい表情を浮かべ、
意を決したように、また強く口づけをしてくる臣。
荒々しい生き物のように、
臣の舌が絡んでくる。
ダメだ…辛い…
無理やり臣の顔を引き離し、
「臣…聞いて…お願い」
「…な…に?」
息が荒く、声がうわずっている。
「どうしても俺と…そうなりたいのなら…俺達のあの部屋でしてよ…」
「……」
「ここではやめてくれ…」
「…別れた後が…辛くなるからさ…」
「……」
隆二は左腕で顔を隠している。
汗か涙か…目から光るものが落ちた。
長い沈黙の中、臣の息づかいだけが聞こえる。
隆二は、声が出そうになるのを、グッと押さえている。
「別れた後の話なんかすんなよ…」
絞り出すように、そう呟くと、
臣は隆二から離れ、ベットにうつ伏せになった。
二人でいるのに、
切なくて、孤独な時間が流れていく。
二人はそのままで朝を迎えた。
すっかり日も高くなった頃…
「隆二、大丈夫か?…帰るぞ」
そう言って、臣はベットの横に立ったまま、
よく冷えたペットボトルを、隆二の頬にくっつける。
「ん…」
気分が悪い…
こりゃ完全に二日酔いだな…
「シャワーは家に帰ってからにしろな」
「ん…顔だけ洗ってくる」
「ほら」と手を差しのべて、隆二を起こす。
一瞬ふらつき、臣に持たれかかる。
昨日のあのセリフ…怒ってるだろな?臣…
しばらく立ったまま無言で抱き合う二人。
隆二は、臣の左肩に顎を乗っけて、ようやく立ってる。
「洗面所までついてこか?」
あれ?優しい…
「大丈夫、一人で行けるよ」
そう言って臣の顔を見上げると、
「うわっ …お前…ひでぇ顔」
「目、腫れてるぞ!鏡見て来てみ」
笑って優しく送り出す。
ふらふらと洗面所へ向かいながら、
臣…怒ってないのかな?
「ゆっくりでいいからな!」
キッチンでコーヒーメーカーのスイッチを入れながら、臣が声を掛ける。
鏡に写った自分の顔を見て、しばらく立ち尽くす隆二。
うわっ…ホントだ!ひでぇ顔…
ん?…なんだ?このアザ…
入れたてのコーヒーを手に持ち、
広いリビングのソファーに腰掛けようとすると、
洗面所から隆二の絶叫が聞こえてきた。
「なにこれーっ!?…キ…キスマークだらけじゃん…」
何も答えないで、片方の眉をひくっと上げて、
コーヒーを飲み微笑む臣。
「明日の撮影どーすんの?これ…」
未遂だよ…未遂
理性の勝ちだ…
End
引っ越し先までお付き合い頂いている、フォロワーの皆さんに感謝をこめて…
幻の回となってしまい、閲覧出来なかった
『理性②』UPします。
いつもご愛読ありがとうございます(^^)
2コメント
2017.11.16 11:57
2017.11.16 11:31