『警告①』(続・臣隆妄想劇場8)


ソロデビューに向け、


異国の地で撮影やレコーディングに明け暮れていた日々。


毎日が充実していた。


ただ、仕事を終え一人になると、


言い様のない孤独感に襲われた。


一人って、こんなに孤独なのか?


ソロデビューも軌道に乗り、


またメンバーが集まり、


ツアーに向け賑やかな日々が始まった。


あいつとも…


満たされる毎日がしばらく続くと思っていた。




健二郎「隆二!最近付き合い悪いで!お前
…今日はメシつき合えよ‼」


チラッと、臣の方を見る隆二。


隆二「え?…ああ、ごめん…待ってて!トイレ行ってくる」


健二郎「外で待ってるから、早よせーよ!」


別に怒っている訳でもないのに、


時に関西弁はキツく聞こえる。


健二郎「臣ちゃん、ほな、また明日な!」


臣「お疲れ」


健二郎に向けた笑顔はすぐに消えた。


お互いに付き合いもある。


単独の仕事もある。


毎日というわけには…


コーヒーを飲みながら、色々思いを巡らせていると、


目の前に、飛びっきりの笑顔で剛典が現れた。


臣「びっくりした…急に現れんなし…」


剛典「なんだよ!深刻な顔して。なんか悩みごと?」


臣「ん?いや、ちょっとね。どしたの?」


剛典「えっ⁉今日仕事終わってから、映画見に行こうって約束してたじゃん」


…そうだった。


しばらくあいつとも距離を置こうって決めて…


がんちゃんと約束してたんだっけ。


剛典「まさか?ドタキャン…?」


あいつも今日は、遅くなるだろうし…


臣「ん?大丈夫だよ!待ってて、トイレ行ってくる」


剛典「急いでね!上映時間迫ってるから」


臣「おう!」


コーヒーが入ってた容器をゴミ箱にシュートして、急いでトイレへ向かう。


トイレの入り口で、隆二と鉢合わせになる。


隆二「びっくりした…」


臣「隆二…ちょっと」


隆二の引き締まった二の腕を持ち、


トイレの奥へ連れて行く。


壁に手をつき、


隆二を間に挟み込むようにして立つ臣。


隆二「…こんな所でやめろよ」


臣「…お前も今日遅くなんだろ?」


隆二「お前も…って?臣も出かけんの?」


臣「がんちゃんと映画」


隆二「あっ!…そうなんだ。気をつけてね」


複雑な表情を浮かべる隆二。


臣「それだけ…冷たいな」


隆二「なに?行くな…とでも言って欲しいの?」


臣「うん。言って欲しい…」


前髪が触れる位置まで近づいて、


瞼を閉じる臣。


隆二「アホかっ…早くしねぇと健ちゃんが…」


臣「そうだね!じゃ、行ってこい」


軽くキスをする臣。


赤くなる隆二。


隆二「誰か来たらどうすんだよ…」


入り口付近で人の気配がして、


慌てて離れる二人。


程なく、マネージャーが入って来て、


「あ❗️隆二くん!健二郎くんが、いつまで待たせるんや!…って怒ってますよ!」


隆二「えっ⁉️ヤバ…ありがとうございます!」


軽く会釈して、急いで出て行く。


残された臣の方を見て、会釈をするマネージャー。


臣「俺も行かなきゃ…お疲れっす!」


笑って出て行く臣。


「…お疲れ様です」


間一髪だった!…危ねぇ…


急ぎ足で、剛典の待つ部屋へと向かう。


「……」


トイレから通路に出て、


臣の去った後をジッと見ているマネージャーの姿があった。




End








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