『警告②』(続・臣隆妄想劇場9)


その日の夜遅く、行きつけの店で飲んでいる臣と剛典。


剛典「4DXって俺初めてだったけど、面白いよね」


臣「えっ?…ああ…そうだな」


そう答えてはみたが、映画の内容は全く覚えていない。


剛典「なんか今日はずーっと、心ここに在らずって感じだよね」


臣「ん?そうかな?…気のせいでしょ」


あいつ、今頃健ちゃんと仲良くやってんだろな…


あの二人、もともと仲いいし…


あいつのラジオに健ちゃんがゲストで出た時だっけ?


健ちゃんと一緒だと、安心感半端ないって言ってたよな。


まぁ、確かに健ちゃんはいい奴だし。


グラスになみなみと酒をつぎ、


グラスからこぼれ出しそうな、


その丸みをじっと見る臣。


剛典「ん?なになに?なんか見えんの?」


興味津々で剛典が顔を近づけてくる。


相変わらずの、屈託のない笑顔を臣に向ける。


丸みの表面を指で突くと、


酒がグラスから溢れ出した。


臣「一度溢れ出すと、止められなくなるんだよね」


剛典「え?なんの例え?なんか切ない顔して…恋でもしてんの?」


ズキッ…っと、胸が痛む。


恋…?あいつに?


俺自身もよくわからない。


自分の感情のまま行動してるけど、


これって恋なのか?


そもそも何であいつなのか?


ふーっ…と、ため息をつく。


剛典「あ~あ…ため息なんかついちゃって…図星?」


剛典「相手どんな人?今度写メ撮って見せてよ」


見せれるわけねーだろ…


がんちゃんやめて❗


これ以上つっこまないでくれ…


「こいつ❤」…なんて隆二の写真見せた日にゃ…


考えただけで頭が痛くなる…






翌日はスタジオで、ボーカルリハがあった。


もちろんスタッフも大勢いる。


ツインボーカルだから、当たり前かもしれないが、


今までも一緒にいる時間は沢山あっても、


二人っきりっていうのは意外と少ない。


スケジュールの都合がつく時は、


なるべくお互いの家を行き来してきた。


ここ数日で一変した二人の関係…


こうやって近くに居ると、


無性にあいつが欲しくなる。


少し離れた所に座っている二人。


「隆二…」と、声を掛け、


キャスター付きの椅子ごと、近くに移動してくる臣。


隆二「さすがにここじゃ駄目だよ」


臣「休憩中は誰も入ってこねーよ…」


隆二「わかんねぇだろ」


臣「時短でいいから…ん…」


椅子に座ったまま、口をすぼめて突き出す。


隆二「…しょうがねぇな…ったく」


隆二の手が臣の頬に触れ、


一瞬ゾクッとする臣。


しっかり目を閉じて、隆二が来るのを待ってると、


「ドンドン」と、いきなりドアをノックする音がした。


隆二「は…はぁい❗ちょ…ちょっと待って下さい!」


椅子から落ちそうになりながら、


元居た場所へ戻る臣。


隆二「どうぞ~!」


「隆二くん、臣くん❗休憩中にごめんね!明日の取材なんだけど…」


マネージャーが矢継ぎ早に話をする。


危なかったな…今のも…



End



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