『誘惑』(続・臣隆妄想劇場4)
「いま開けるから」
ドアが開くと、不機嫌そうに臣が出てきた。
上半身裸でタオルを首から巻き、髪も濡れている。
隆二「え?風呂入ってたの?」
俺が来るの判ってるのに?
臣「うん…で、なんか用?」
プンと酒の匂いがする。
隆二「用がなきゃ来ないよ。ここじゃなんだし、中入っていい?」
臣「ふーん…いいよ」
ふーんじゃねぇよ!めちゃ機嫌悪いし…
あの目を見てるだけで、気持ち折れそう…
リビングに入るとすぐに、
隆二「臣…なんか怒ってんの?最近ずっと俺のこと避けてんじゃない?」
臣はこちらを見ないで、冷蔵庫から缶ビールを出している。
臣「別に…気のせいでしょ?」
隆二「ちゃんと俺の目を見て言ってよ」
臣「なんだよ?それ…」
パタンと冷蔵庫のドアを閉め、スタスタと隆二の前まで歩いてくる。
臣「飲むだろ?突っ立ってないで荷物置けば?」
ほんとだ。
なに突っ立ってんだ?俺…
真正面に臣の顔があり、さらに近づいてくる。
臣「目、赤いよ」
そういや2、3日まともに寝ていない。
さらに、鼻先がくっつきそうな位、顔を近づけてきて、
臣「えーと…なんだっけ?」
臣「…ああ…気のせいでしょ?」
言うだけ言ってくるりと踵を返し、ソファにどかっと腰掛ける臣。
ダメだ…挫けそう…
臣「座れば?」
はい…そうします
肩に斜め掛けしていたバックを下ろし、向かいのソファに腰掛ける。
プシュッ!…と、いい音をさせて缶を開け、ビールを一気に飲み干す臣。
隆二「いただきます」
臣「変なヤツ…」
ほんと、変だよ俺たち…
ついこの間までソファに並んで座り、ツアーのことや、メンバーのこと、いつものように語ってたのに…
俺が暑さにやられてぶっ倒れた時も、なんだかんだ言いながらも、一緒に居てくれたのに…
ジーッと臣の顔を見る隆二。
臣「なんだよ?」
グイッとビールを一気に飲み干す。
シラフじゃ本題に入れそうにない。
隆二「もう一本くれ!」
臣「好きなだけ飲めば?明日休みだし」
隆二「ん…そうする」
臣ん家の冷蔵庫や食品ストッカーの中は、どこに何が入ってるか、だいたい把握している。
お互いの家を行き来しなかったのって、別行動で海外に行ってた時くらいだろ?
両手で持てるだけの缶ビールとおつまみを下げてくる。
缶ビールを立て続けに3本流し込む。
その間会話はない。
目を丸くして見ている臣。
臣「喉乾いてたの?」
そういう問題ちゃうわ!
4本目…
臣「おーっ‼️いい飲みっぷり」
臣…久しぶりに俺に笑顔を見せた。
臣「テキーラもあるけど、いっとく?」
隆二「ああ!よこせっ‼️」
臣「面白れぇな、お前…」
テキーラがヤバかった…
一杯目でガツンときた。
俺こんなに酒弱かったっけ?
そうじゃねぇよな…
寝てないからだ…きっと
おっ…臣が三重に見える…
臣「で?話ってそれだけ?」
え?あっ…そうだ!
臣と話に来たんだ…
えっと…なに聞くんだっけ?
何であの時キスしたの?
酔ってたの?
正気だったの?
…お前、俺のこと好きなの?
そうだっけ?
そう聞くんだっけ?
ヨロヨロと臣の座るソファまで来て、隣にドスン!と腰を下ろす。
臣「なに?」
隆二「……」
隆二「おれ、お前のことが好きだ!」
臣「⁉️」
沈黙の後、パッと臣の表情が明るくなる。
隆二「だから無視すんなよな!寂しいだろ!」
隆二「いつも一緒にいるのに、急にツレなくすんなよ!」
臣「…隆二」
隆二「人が具合悪いって寝てる時に、勝手にキスすんな!」
臣「えっ⁉️…意識あったの?」
隆二「やるんなら堂々とやれ!」
臣「お前…酔っ払って…」
グイッと臣の顔を引き寄せ、隆二を下にしてソファに倒れこむ二人。
臣「…⁉️」
隆二「臣…キスしてよ…あの映像みたく」
End
臣くんのソロ曲「WASTED LOVE」を聴きながら書きました♥️
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