『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(小さな憧れ28)
隆臣の髪を撫でながら、隆二も当時を振り返っていた。
隆臣が隆二たちの元にやって来た頃と言えば、臣があの異形の物の支配から解き放たれた後だ。
茫洋としていつも心ここにあらずだった臣が、自分たちの血を分けた隆臣に興味を持ち始め、
それがいい意味で心のリハビリに繋がり、本来の臣に戻るキッカケになったこと。
そして隆臣という存在が、臣との絆を一層深めてくれたこと。
自分を圧倒的な強さと欲で支配しようとした“もう一人の臣”と、ふわふわと風船のように掴み所がなく静かで、守ってあげたいという母性本能のような感情にかられた“その後の臣”。
どの臣も、今もなお強烈に愛おしく思う自分がいる。
隆二から臣の方に視線を送った。
…ん?
気づいた臣が一瞬反応する。
それを遮るかのように隆臣の顔がドアップになった。
「パーパ、どうして大好きなひーしゃんや乃愛がお泊りしてるのに、一緒に眠らないの?…って思ったでしょ?」
「…ホントだね、どうしたの?」
つづく
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