『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(小さな憧れ17)

宴もたけなわ、大人たちのほろ酔い加減もちょうどいい頃合いになった。



「ではここで、三代目スーパーキッズのダンスを披露してもらいましょう❗」



登坂家のリビングは即席のミニライブ会場と化した。



隆臣と陽翔が通う保育園と、乃愛が通う園は隣町で異なるが、都内の全保育園で流行している「KICK&SLIDE」のダンスは3人共練習済みだ。



剛典の掛け声と共に現役園児三人が元気よく立ち上がった。



隆臣がMC・剛典のセーターの裾を引っ張る。



「あのねぇ、乃愛のパーパ、たぁくんの夢はライダーだから、スーパーキッズは今だけね✋」



「そうなんだ!了解」



「え?隆臣の夢ってアンパンマンじゃなかったっけ?」



「とーしゃん、それはいま諦めモードよ」



「どうして?あんなにパンマンになるって言ってたじゃん」



「パンマンはミッキーと同じでね!世界に一人だけなの。だから無理よ」



「ライダーは一人じゃないの?」



隆二が首を傾げた。



「ライダーはいっぱいいるでしょ?」



「そう言われてみれば、沢山いるな」



「パパたん♪乃愛も期間限定のスーパーキッズだからね!乃愛の夢はパパたんも知ってる通り…」



「隆二さんのお嫁さんだろ?わかってるって」



チラッと臣の顔を見ると、ニコニコ顔でりおを抱いて、バァとあやしながらご機嫌だ。



ホッとため息をついた剛典は、オモチャのマイクを片手に平等に対応する。



「陽翔くんの夢も聞かせて欲しいな」



「乃愛ちゃんパパさん、ありがとう❗」



自分の順番が回ってきた陽翔は、胸を張って笑顔で答えた。



「僕は普通の会社員になって、あったかい家族のお父さんになりたいです」



背伸びをしない、とても現実的な将来の夢に剛典も感心したように笑顔になった。



つづく

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