三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 40』
翌日、二人して寝坊して、少し遅めの朝食を取りに、ホテルのレストランへ入った。
バイキング形式で食べ放題。
何度も愛し合ったから、エネルギー不足でがっついて当然なのに、
二人共あまり食が進まない。
本当に精根尽き果てたのかな、俺たち。
「臣、ついてる」
隆二が指で俺の口元を拭ってくれた。
「サンキュ」
空いた食器を下げに来た若いスタッフは、隆二がとった何気ない行動を見て、
小声で俺に話しかけてきた。
フィンランド語だ。
ニコッと微笑んで厨房へ消えていった。
「今、彼女何て言ったんだろね…臣、解る?」
「ああ、なんとなくだけど…」
「“恋人同士ですか”」
「“素敵な夜を過ごされた”…みたいなこと言ってた」
隆二はそれを聞いて、なんとも腑に落ちないような表情になった。
「…不思議だね、なんで恋人同士ってわかんの?」
伝えるべきか否か、一瞬迷ったけど、教えてやるか。
「夜な」
「うん」
「ここに宿泊する客は大抵、オーロラ見たさにみんな夜更かししてるだろ?」
「そうだろね」
「日付が変わる頃から2時くらいにかけて、ビスケットがついたティーサービスがあんだよ」
「…それ、どこで?このレストラン?」
「違う、ルームサービス」
「え⁉︎待って待って‼︎…てことは、昨日も日付が変わる頃に、俺たちが居たイグルーにも来たってこと?」
「ん…」
「ノックも何も、聞こえなかったけど…」
隆二はハッとして全てを理解したようで、見る見る真っ赤になった。
顔もだけど、耳たぶ!
真っ赤っかだ。
「俺らの愛し合う声聞いて…」
「遠慮したんだろな」
片手で顔を覆って、本気で照れてる。
「照れんなよ。同性同士なんて、こっちじゃ珍しくもなんともないだろ」
「…気にすんな」
「てかさ、臣、知ってたの?」
「ルームサービスがあること?」
「うん」
「前に映画の撮影でここ、泊まったからな」
「先に言ってよ!…思いっきり喘いでたじゃん、俺…」
「しっ‼︎声がデカイって」
すぐ隣の席に座っている青い目の老夫婦が、こちらを見て笑っている。
「は、恥ずっ…」
恥ずかしいよな、マジで。
でもさ。
本気で照れてるお前見てると、
なんだか俺、すごく幸せな気持ちになるんだ。
つづく
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2021.01.31 16:12
2021.01.31 16:02
2021.01.31 13:11