『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(新生61)
「廉、待たせたな」
臣はいつもの笑顔で廉の斜め前に座った。
遅れて隆二が廉の真正面に腰掛けた。
廉はハッとした。
隆二が着ている黒いシャツが肌蹴て、胸の辺りが数カ所赤くなっている。
二人がたった今、愛し合った証だと瞬時に理解した。
途端に悲しくなってきた。
ひとときの夢だったんだ。
愛する人の温もりや、息づかいまで感じる、クリアな夢…
臣さんには…とても敵わない。
それが、廉の出した答えだった。
隆二が申し訳なさそうに眉を寄せて、廉を見つめて言った。
「あのさ、廉…ごめんね」
「あ…いえ、謝ったりしないでください」
ちょっとした浮気心からだった。
あの、怪しい絵を見て、変な気分になった。
どんな言葉を返されても、多分虚しくなるだろう。
叶わない恋なんだ。
諦めよう。
「廉、ごめんな」
込み上げてくるものを必死で抑えた。
「臣さんも…もう、何も言わないでください」
「僕、ステキな彼女見つけます」
つづく
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2020.09.06 02:21
2020.09.06 02:17