『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(新生42)
隆二のしなやかな指先から温もりが伝わってくる。
「あ、あの…」
「こういうの嫌か?」
「これは、どういう…」
「どういう気持ちで手を握ったのか…知りたい?」
ドンッ‼️
中庭に沿ってまっすぐ伸びるガラス張りの壁に、隆二が片手をついた。
もう片方の手で廉の手首を持ち、向かい合わせになった。
隆二は廉の指を、自分の唇に触れさせた。
ゆっくり顔を近づけてくる。
「りゅ、隆二さん💦」
「欲しいんだろ?」
本音とは裏腹に、廉は首を横に振った。
隆二は壁についた手を離して、廉の頬に触れた。
何度も夢に見た、その愛しい唇が迫ってくる。
観念したように廉が、長い睫毛を閉じて受け入れようとした時だった。
「ねぇ‼️魔魅夜の絵を見た後って、無性にしたくなるんだって‼️」
通路の奥から甲高い女の声がした。
スっと、隆二は廉を解放した。
シャツの胸ポケットから黒いサングラスを取り出し、素早くかけた。
「行くぞ」
「あ、はい💦」
ゆっくりと歩き始めた隆二の後を追いかけた。
途中、甲高い声の主とすれ違った。
豊満な胸の谷間を惜しげもなくアピールしてるような、大胆なドレスに細いピンヒール。
キツい香水の香りが鼻をついた。
隣を歩く強面で頬に傷がある長身の男の腕に、真っ赤なマニキュアの手が絡みついている。
「で、どうなんだ?その気になったか?」
「もう‼️うずうずしてる!出勤前にしようよ!」
「欲しがるねぇ、いい効果だ」
男は舌なめずりして、女の細い腰を抱いた。
「魔魅夜の絵って凄いわ‼️」
「案外あの噂、マジかもね」
すれ違う時に派手な化粧の女は、ニヤリとして隆二達を一瞥した。
(魔魅夜の絵?…噂って?)
期待と不安で隆二の後に続いて入った最初の部屋で、壁に展示された大きな絵画が目に飛び込んできた。
つづく
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2020.05.16 01:04
2020.05.16 00:44