『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(新生23)
翌朝、臣と隆二は乃愛を連れて、陽翔の家に向かっていた。
理太は自宅で廉とお留守番だ。
廉は若いが、なかなか優秀なベビーシッターだ。
理太も廉にはよくなついている。
今日は陽翔一家が母のいる北国へと旅立つ日だ。
隆二は手を繋いで並んで歩く乃愛を見ながら思った。
乃愛はまだこんなに小さいのに、最愛の母との別れを体験した。
息子の隆臣も今日初めて友人・陽翔との別れを経験することになる。
隆臣は、どこまで"別れ"を認識しているかどうかは分からないが、乃愛は違う。
母との別れは本当に辛かっただろう。
隆二への淡い恋心が、乃愛の生きる希望になっているなら、できることは何でもしてあげたいと思った。
乃愛を挟んだ向こう側に臣が歩いている。
乃愛と繋いだ手の振りが、心なしか弾んでるように見える。
もとはといえば、誰が発端で理愛があんな目にあったのか?
相手の女が100%悪いことも隆二には解ってる。
臣には何の罪もない。
だけどちょっと今日は浮かれすぎじゃないか?
そういえば乃愛も何だかウキウキしてるように見える。
何となく気になったので、まずは相方の臣に尋ねてみた。
「臣さぁ、何かいいことあった?」
つづく
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