『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(新生⑦)
いつもなら、隆二はきっとこう答えるだろう。
「俺には臣がいるから…乃愛、ごめんね」
だが、今は…
最愛の母と離れ、悲しみの底にいるこの少女に、それを告げるのは酷だと思った。
かと言って、隆二の性格だ。
相手が4歳の少女だとはいえ、いい加減なことは言えない。
「るーたん、困ってる?」
すぐ近くで目にいっぱい涙をためた乃愛が見つめている。
「乃愛…」
「夢でいいの」
「そだね」
「夢の中なら…」
「じゃあ手ぇ繋いで一緒に寝よっか」
「いいの?嬉しいな」
岩田家から運び入れた、乃愛専用のフリルがいっぱいついた布団の中に、二人一緒に潜り込んだ。
隆二は乃愛の小さな頭を腕に乗せた。
「るーたん、あったかくていい匂い…」
隆二に包まれて次第に乃愛の涙も乾き、安らかな寝息をたて始めた。
ワインのせいもあり、隆二も吸い込まれるようにそのまま眠りに落ちた。
つづく
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