『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(新生③)
乃愛が眠ってからしばらくして、そっと部屋を出た隆二は水を飲みにキッチンへ入った。
ちょうど風呂上がりの廉も、冷蔵庫の前で突っ立って水を飲んでいる。
「隆二さんのお水、いただきました」
「うん、よく温まった?」
「はい」
理愛の故郷の住人は、みんな若くて肌も白くて、よりにもよって美しい男女ばかりだ。
特にこの”廉”という若者。
理愛に負けないくらいに透き通った肌をして、細い眉に大きな二重の目。
女装させて原宿辺りを歩かせたら、すぐにスカウトマンが寄って来るだろう。
隆二専用のふわもこタオルで濡れた黒髪を拭いている。
ふと、パーカーのロゴが隆二の目に入った。
「あ、それ俺のお気に入り」
「あ‼️ごめんなさい。僕、勝手にお借りして」
「乾いてた?」
「ええ…」
「いいよ、別に。自由に使って」
隆二は相好を崩して廉の前を通り、冷蔵庫を開けた。
「隆二さんのパーカー、とてもいい香りがします」
「そう?洗っても香りって残るんだね」
「僕、この香り好きです」
「ありがと」
隆二はペットボトルの水を口に含んで廉を見つめた。
廉は急にはにかんだ様子で言った。
「隆二さんも…好きです」
つづく
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2020.01.09 07:37
2020.01.09 07:21