『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 スピンオフ(初めてのチュー⑪)
診察室に入るや否や、坊やが猛ダッシュで私の方へ走ってきた。
「きゃあああ‼️おねーしゃん、たしゅけてぇ💦」
「たっくん💦危ないから走っちゃダメ‼️」
後ろに金髪のお父さんと、注射器を手にした先生が迫っている。
私はパペットを着ける暇もなく、慌てて姿勢を低くした。
「おねーしゃん!」
広げた腕の中に坊やが突進してきた。
すぐ左側の扉を開けてベレー帽の男性が入ってきたのと同時に、猛スピードで腕の中に飛び込んできた坊やと唇がくっついた。
「んちゅ♡」
「えええー!?」
その場にいた全員が叫んだ声も遠くに聞こえるほど、それは衝撃的な出来事だった。
私のファーストキス…
23歳の今に至るまで、大切に守ってきた。
幼い頃、父でさえ一人娘の私とスキンシップするのを我慢してたって、母から聞いたことがある。
”かのんのファーストキスは、未来の花婿さんに”
両親が愛情いっぱいに守ってくれていた。
生まれて初めてのキスの相手は…
アンパンマンのジーンズを履いた坊やだった。
つづく
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2019.12.13 10:57
2019.12.12 15:42
2019.12.12 09:35