『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 スピンオフ(初めてのチュー)
「おねーしゃん」
私が勤めている小児科病院。
受付窓口のカウンターの上に、いつの間にか飴とお菓子が置かれている。
「あれ?どなたの差し入れですか?」
窓口の小窓から身を乗り出して待合室を見渡した。
順番待ちの患者さんは呼び掛けに反応して、一斉に首を横に振っている。
「ここよ!」
カウンターの上に紅葉の様なちっちゃな手が現れた。
「きゃ!びっくりした💦」
見ると3~4歳位の男の子が立っている。
外に突き出したカウンターの影で見えなかったんだ。
「お菓子を下さったのは坊やですか?」
「しょーよ」
「おねーしゃん、塩飴とビスケッチョどっちにしゅる?」
「あのね、坊や」
「ボーヤってなぁに?」
「そうね💦お名前はなんて言うのかな?」
「たぁくんでしゅ✋」
「たぁくんって言うのね!順番待ちの患者さんかな?苗字は分かりますか?」
「あのねぇ」
「としゃか…」
男の子が答えようとすると、後ろからその口を優しく塞いだ人がいた。
「こーれ‼️たっくん💦お姉さんの邪魔しちゃダメでしょ」
「きゃはは‼️捕まっちゃったぁ💦」
「お仕事中にすみませんでした💦」
金髪に黒縁の眼鏡とマスクをした男性は、ぺこりと頭を下げて男の子を抱き上げ、カウンターに置かれたお菓子を拾い上げた。
「こちらこそせっかく可愛い坊やが差し入れして下さってるのにすみません💦」
「こういうの禁止されてるんですよね?うちの息子がホントすみませんでした」
「パーパ‼️おねーしゃんにどーぞしゅるのよ😡」
「お姉さんお腹いっぱいだから、また今度ね」
「そーなの?」
くりくりお目目をまぁるく見開いて、男の子がこちらを見ている。
「お昼食べたところですけど、まだ余裕はありますね」
無意識に胃の辺りをポンポン叩いた。
「え!?そうなんだ」
「あ💦つい口が滑って…」
男の子と、その若い男性は目を細めて、同じような笑い声をたてた。
恥ずかしくて顔が赤くなった。
「う、受付はお済みですか?」
「はい。順番待ちしてます」
「坊やどこかお悪いんですか?」
「あ、いえ…」
お父さんが答えるより先に、男の子が片手を高く上げて元気な声で言った。
「おチューに来たのよ✋おねーしゃん」
つづく
~お知らせ~
妄想順になりますが、各ストーリーは順次更新していきますので、しばらくお待ちください。
10コメント
2019.11.25 23:06
2019.11.25 14:45
2019.11.25 09:10