臣隆妄想劇場①(修正版)
『初めての…』
臣のマンションで、リビングのソファーに並んで腰掛けてる臣と隆二。
テーブルには、酒とつまみ、ツアーの資料。
隆二「ハイローの舞台挨拶さぁ、臣めっちゃ胸元はだけてたね」
臣「暑かったからなぁ…なに?そそられた?」
隆二「まーた…そういうセリフは、付き合ってる子に言うもんでしょ?」
臣「お前が先に話振ってきたんだろ」
隆二「だって…臣、ソロのMV辺りから、インパクトあるシーンばっかじゃん」
臣「ああ…あれね?結構破壊力あったでしょ?」
隆二「ありすぎだよ!濃厚ラブシーンって…いきなりぶっこんできたよね!臣」
臣「チャレンジャーだかんな!おれ」
隆二「それ、俺のブログのやつ…」
臣「だよね」
隆二「だよねじゃねーよ!」
隆二「…まっ!いいんじゃない?
臣は色気全面的に出した方がファンも喜ぶし…俺にはできねーけど」
臣「よく言うよな!お前…リュウセイの時とか、めちゃ女がらみやったやん!」
隆二「仕方ねーだろ!そういう設定だし…俺にはあれが限界だよ」
臣「…で、どうだったの?俺のラブシーン」
隆二「んー…まぁそこは素直に…やっぱ臣スゲーなって…これからも役者続けていった方がいいんじゃない?」
臣「どのシーンが一番ドキッとした?」
隆二「人の話聞いてねーだろ」
臣「お前の評価を聞きたいんだよ」
隆二「んー…やっぱりあの車のシーンかな?」
臣「男のお前でも、ドキドキした?」
隆二「いや、マジでスゲーなって!俺だったらぜってー無理…」
いきなりドサッと隆二をソファーに押し倒す。
隆二「ちょっと!びっくりすんだろ❗いきなり何の真似だよ❗」
臣「お前、人のこと言えんのかよ。
XーRAYの撮影の時…腹の方まではだけてたじゃん」
隆二「現場、人多くて暑かったから仕方ないじゃん!」
「…っていうか、離せよ❗」
臣「お前の方がよっぽど誘ってるし」
隆二「俺にそんな器用なことできるわけねーだろ❗暑いから退いてよ❗臣…」
隆二の手を、ぎゅっと握ってくる。
隆二「待てよ❗…俺そっちの気な…」
いきなり唇を押しつけてくる。
(ちょ…!?なに考えてんだ❗こいつ…)
抵抗して、顔を背ける。
「じっとしてろよ!隆二」
(うわっ…こいつ目が座ってる…そんなに酔うほど飲んだっけ?)
隆二のアゴを手で押さえて、臣がまた唇を重ねてくる。
(すげぇチカラ…てか、なに?この感触…)
(こいつELLYよりキスうまくね?)
(ヤベェ…頭がくらくらする…)
臣はわざとらしく「ちゅっ」と音をたて、ゆっくり唇を離す。
臣「あれ?大人しくなってお前…まんざらでもなかった?」
隆二は唇を手の甲で拭いながら言った。
「酔ってんのか?いい加減にしねぇと、ぶっ飛ばすよ!」
臣「ひげ…」
隆二「あ?」
臣「ひげ痛い…」
隆二「へ?」
臣「ひげ剃らねぇと、もうキスしてやんない」
隆二「なっ!?」
真っ赤になる隆二。
隆二「してもらわなくていいわ❗
絶対剃らねぇ!一生ボーボーにしててやる」
臣「ハイハイ…酔ったかな?…ちょっと寝る…」
ソファーに仰向けにゴロンとなり、隆二の膝を枕にして寝息をたてる。
隆二(うわ…心臓バクバクしてる…めちゃ動揺してる…おれ…)
臣の寝顔をまじまじと見る。
隆二(やっぱ酔ってたのかな?臣…)
そっと臣の髪に手をやる。
いきなり大きな目をパッと開けて、下から臣が見上げる。
臣「まんざらでも無かったろ?」
かーっと更に真っ赤になった。
隆二「どけっ!俺もう帰る❗」
臣の頭をどけ、立ち上がって上着を取り、玄関へ向かう。
隆二「打ち合わせなんかやってられっか!」
臣「後で電話する」
隆二「うっせ!バカ❗」
バターン!…と勢いよく玄関のドアを閉めて出ていく。
臣(酔ってなんかいねーよ…)
イタズラっぽい笑みを浮かべる。
大きく背伸びをした。
「飲みたりねー」
グラスの酒を一気に飲み干す。
(しばらく口きいてくんないかな?あいつ…)
(ライブ再来週だぞ…打ち合わせどうすんの?)
(やっちまった?俺…)
一気に酔いが覚め、慌てて隆二に電話をかける。
「お客様のお掛けになった電話番号は…」
(やっべぇ…)
スマホだけ手に取り、走って隆二の後を追いかける臣だった。
『二度目で…ラスト』
あの日…あいつの後を追ってマンションまで行ってみたけど、帰っていなかった。
電話もつながらない。
合鍵は持ってる。
でも、さすがに勝手には入れないし…。
翌日は映画の番宣で、一日中仕事だった。
TAKAHIROさんと一緒だし、不機嫌そうな顔なんかしたら失礼になる。
何とか笑顔は作れたけど、あいつのことが気になってしょうがない。
夕方になってインスタを開けると、赤いシャツを着て笑ってる隆二がいた。
そっか…居酒屋覗くって言ってたっけ?
全てのスケジュールを終えて、TAKAHIROさんと軽く飲みに行き、
別れたのが夜中の1時…。
その足で、隆二のマンションまでやってきた。
インターホンを押しても、応答はない。
こんな時間にレコーディングもないだろうし、ひょっとして健ちゃんの所かな?
電話してみよ…
臣「健ちゃん?あっ…おれ!ごめん…寝てた?」
健二郎「そろそろ寝よかなって思ってたとこや。臣ちゃんどうしたん?」
臣「隆二そっちに行ってないよね?」
健二郎「来てへんで?ここしばらくおーてへんし」
臣「そっか…ならいい…いや、特に急用でもないから。ごめんね!健ちゃんおやすみ!」
そうだよな。
俺くらいだろ?
あいつと頻繁に会ってんのは…
地元のツレん家でも行ったかな?
何気なくドアノブを回してみると、簡単に開いた。
え?いるのかな?
臣「隆二?いるの?…入るよ〜」
返事はない。
玄関からリビングへ続く廊下を歩きながら、囁くように声を出した。
臣「隆二?いないの?」
リビングに入ると、赤いシャツとジーンズが、無造作にソファの上に掛けてあった。
あれ?これ今日の昼間に着てたシャツじゃ…
臣「隆二?」
そっとベットルームのドア開けてみると…
ダブルベットの上に、白いTシャツに赤い半パンを履いた隆二が、仰向けになって寝ている。
臣「いるんじゃん…お前電話くらい出ろよ」
上から覗き込んでみると、大量の汗をかき、荒い息を吐いている。
臣「具合悪いのか?すごい汗…」
隆二「誰?…臣?」
薄っすら目を開けて、臣の顔を見る。
隆二「久しぶりにずっと外にいたら、気分が悪くなって…」
臣「熱中症じゃないの?救急車呼ぼうか?」
隆二「いや…いい…ツアー前だし…マスコミにでも知れたら、大ごとになる…」
臣「うわっ…Tシャツびしょびしょ…」
臣「とりあえず着替えて体冷やさなきゃ…」
クローゼットから着替え用のTシャツと短パンを取り、ベットの上に置く。
臣「俺、ペットボトル取ってくるから」
キッチンの方へ向かおうとして振り返った。
臣「ちょっと着替えるの待って…タオル濡らしてくる」
キッチンで氷を入れた水桶にタオルを浸しながら、臣は少し苛立ちを感じる。
あいつ…ほっといたら危なかったんじゃ?
具合の悪い時くらい、俺に頼ればいいのに…
キュッと下唇を軽く噛み、眉間にシワを寄せる。
タオルと水の入ったペットボトルを3本持ちベッドルームへ戻ると…
上半身ハダカで、力尽きたように横たわる隆二の姿があった。
臣「隆二!大丈夫か?」
隆二「ごめん…起きてTシャツ脱いだら…頭がクラクラして…ちょっと…無理…」
臣はスマホを手に取った。
「救急車呼ぶぞ!」
すると、汗で光る手で隆二が臣の手首を弱々しく掴んだ。
隆二「ほんと…大丈夫だから…」
隆二「今度のツアー…どれだけのファンが楽しみに待っててくれてるか…わかるでしょ?…臣」
臣「体調不良だったら、それどころじゃないだろ?」
隆二「…ほんとにヤバかったら言うから…」
臣「わかんなくもないけど…ほら」
隆二の上半身をゆっくり起こし、
肩を支えてタオルで汗を拭き取る。
隆二「変な気…起こすなよ」
臣「言ってる場合か?」
臣「ほら!水」
ゴクゴクと一気に水を飲む。
臣「下は?」
隆二「いい…自分で拭く…」
臣「ん」
手にしたタオルを隆二に渡す。
隆二「タオル…冷たくて気持ちいい」
臣「氷水につけて、絞ってきた」
隆二「へー…気が効くんだ」
手を止めて、ジーッと臣の顔を見る。
臣「ん?何?」
隆二「下脱ぐから、あっち向いててよ」
臣「はいはい」
まるでオオカミ扱いだ。
隆二「ん…いいよー!」
ちょこんとベットに座って、こっちを見てる。
臣「横になれ」
隆二「なんか怖い」
臣「何もしねーよ!冷やすから横になれって」
隆二「何かしたら…ぶっ飛ばす…マジで」
臣「具合悪いんなら、大人しく言うこと聞いてろ!」
隆二はブーっとムクれた顔をして、仰向けになった。
熱が篭ってるような、赤い顔をしている。
臣はおもむろに、よく冷えたペットボトルを両脇に差し込む。
隆二「つめてぇ…!」
臣「体冷やすには脇の下と…足広げろ!」
隆二「⁉️…ヤダよ‼️」
臣「足の付け根にもペットボトル入れるから早く!」
隆二「えーっ⁉️股間も冷やすの?それって臣の趣味じゃ…?」
臣「人をなんだと思ってんだよ!早くしろ」
隆二「じ…自分でやる」
臣「好きにしろ!…ったく」
よく冷えた別のタオルを、隆二の額にそっと乗っける。
隆二「冷たくてほんと気持ちいい…」
臣「だろ?」
隆二「ん…ちょっと眠くなってきた」
臣「寝ていいよ」
隆二「信用してっからな…臣」
臣「バカ…」
静かに寝息を立てた。
あのまま帰らなくて良かった…
しばらくして額のタオルを取り、そっと手をあててみる。
もう大丈夫かな?
臣「隆二…寝てる?」
安らかに寝息を立てている。
これは…俺に心配かけた分のペナルティーな…
臣が軽く唇を重ねる。
隆二「ん…」
ビクッとして唇を離す。
薄っすら唇を開き、うわ言のように隆二が喋った。
「臣…次のツアーだけど…」
またすぐに寝息を立て始めた。
二度目で…ラスト…かな?
よく冷えたタオルを優しく額に乗せ、フッと溜息をつきながら窓の外を見る。
どこかで鈴虫が鳴いてる。
さぁ!
俺たちのツアーが始まる…
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