三代目❤夢小説 『NAOTO編113』
直己と別れて自宅へ帰ると、ベランダからまりあが身を乗り出して、大きく手を振っている。
「なおちゃーん!お帰りなさぁい」
「まりあ…」
笑顔で手を振り返してからすぐに、直人は辺りを警戒した。
碧が訪ねて来ないとも限らない。
フリーのカメラマンがスクープを狙って、どこかに潜んでるかもしれない。
直人は思った。
日が高いうちはベランダに姿を見せないように、まりあに言っておかないと。
玄関を入るや否や、待ちきれなかったようにまりあが抱きついてきた。
「まりあ、一人で寂しかった?」
「うん、会いたかったよ、なおちゃん」
「ケーキでも作ってたの?ほっぺにクリームがついてるよ」
「ほんと?取って」
「甘えたさん」
直人は靴を履いたまま、エプロン姿のまりあを抱いて、生クリームを吸いとった。
「ありがと」
「ほら、まりあがピンク色になった」
「ん…嬉しくて、恥ずかしいから」
新婚ってこんな感じなんだろな…
俺、まりあに何か言うことあったんじゃ?
そんな事を考えながら腕の中にいるまりあを見ていると、なんだかどうでもよくなって、優しくキスを交わした。
明るい我が家で、温かい食事を作りながら待っててくれる人がいる。
それだけで満たされていた。
つづく
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