『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(最愛①)
「…冗談でも、そんなこと軽く口に出すな」
長島温泉にあるリゾートホテルに到着するなり、臣はそう言ったきり話をしなくなった。
「例えばの話だろ?そんなに怒んなくても…」
部屋に案内されるとすぐに臣はタオルと浴衣を持って、何も言わず出ていった。
「駄目だ、完全にだんまりだよ💦」
隆二は深くため息をついて、窓際の椅子に腰掛け外を見た。
雄大な太平洋が一望できるはずだが、夜の海は暗くて、ずっと眺めていると気分も滅入ってくる。
「がんちゃんに電話してみよ」
iPhoneを取り出し、剛典に電話を掛けた。
『はい、隆二さん?どうしました』
「たっくん、迷惑かけてない?」
『大丈夫ですよ。乃愛と仲良くやってます』
「そっか…」
「ちょっとたっくんに代わってくれるかな?」
『わかりました。隆臣くん、パパからだよ』
名古屋ドームを出てから、まだ数時間しかたっていないのに、もう何日も隆臣と会ってない気がする。
親バカ…?
溺愛?
そんな単語が頭をよぎる。
『パーパ?』
「たっくん?」
可愛い息子の声を聞いただけで、胸が熱くなる。
『どしたの?おとーしゃんもいっちょ?』
「うん💦今ね、お風呂に行ってるよ」
『そうなの?ねぇ、パーパ』
「ん?どした?」
すぐにお迎えに来て…って言うかな?
隆二の期待は外れた。
『おとーしゃんとチューちたの?』
「え?…」
隆臣に嘘はつけない。
「んっと…してない」
『どしてぇ?お仕事忙しいの?』
「ん?…いや、そうでもない」
『ダチョウさん、してくらしゃーい』
『乃愛のパーパ、ありがと』
「え?たっくん?もしもし…」
『剛典です。もういいってスマホを俺に返して、乃愛と行っちゃいました』
「どこ行ったの?」
『トイレみたいです。理愛も一緒に』
「そっか…」
『たいたい😡』
いきなり理太の大きな声が聞こえて、隆二は驚いた。
『すみません💦理太がおっきしたので』
「ああ!がんちゃん、ごめんね💦」
『隆臣くんのことはご心配なく。ゆっくりしてきて下さいね』
『たいたい!ブーブー😡』
「ありがとね💦」
通話をきってiPhoneをテーブルに置き、隆二はまたため息をついた。
「…俺も風呂行くか」
つづく
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2019.07.01 13:36
2019.07.01 13:34
2019.07.01 12:06