レンタ彼氏『OMI⑥』
「あの…登坂広臣さんじゃ?」
レジに立つ女性スタッフが顔を真っ赤にして臣くんに尋ねた。
「よく言われるけど」
臣くんはそれだけ言うとニコッと微笑みを返して店を出ていった。
「あー❗やっぱそうだよね💦がっかり💦」
おい、スタッフ!
まだ外に立ってるのに、そんな大きな声出したら聞こえるでしょ。
私が外に出ると、臣くんは不機嫌そうに言った。
「早くしろよ、さみぃし」
「ごめん💦臣くんライダース返すから」
「いや、それは着とけよ」
「それよか、家どっち?」
「ん?こっちよ」
「早く帰ろ」
臣くんは空いている手を差し出し、半ば強引に私の手を取った。
歩き出した彼に引っ張られるように早足になる。
「あの、私の買い物した分の代金払うから」
「いいよ」
「また今度、美味いブレンドでもご馳走してくれ」
コーヒー好きも一緒だ。
「すみません…」
「敬語禁止な」
「…はい」
彼は急に立ち止まり、舌打ちをして私を見た。
「け…敬語やめる」
「…ったく、行くぞ」
「臣くん、あのね」
「んだよ?歩くの早ぇか?」
「違う」
「うち、ここよ」
to be continued…
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