三代目❤夢小説 『NAOTO編107』
「これを見て下さい」
直人は並んで座っているまりあの腕を持ち、上着の袖を捲った。
「それは…」
園長は椅子から身を乗り出してまりあの腕に残る無数のアザを見ている。
「まりあ先生が碧先生から受けた暴力の跡です」
「…信じられない」
「彼女は見せたくないと言ってたんですが…」
「証拠を見せて、園長先生にも事実を知ってもらわないと前に進めないって、俺が説得しました」
「まりあ先生、それは本当に碧先生から受けたものなの?」
「…はい」
「知らなかった」
「知っていたら仲人だって引き受けたりしなかったわ」
頭を抱えてうな垂れた園長に直人が話を続けた。
「彼の行動は常軌を逸してます」
「安全の為に今は信頼できる俺の友人の家で、彼女を匿ってますが…」
「職場に来れば嫌でも彼と顔を合わせます」
「彼と直接接触することが無いように、時間や仕事の配分をなんとか考慮してもらえないかと思って、園長にお願いしに伺いました」
「そうでしたか」
「でも、碧先生が園を去った今、その必要もなくなったのでは?」
「そうですね…」
タイミングが良すぎる。
まりあを返してくれと言って土下座したのは、数時間前のことじゃないか?
この短時間の間に、彼の身に何が起きたんだろう?
胸騒ぎを覚えながら直人が園長を見ると、園長は顔を上げて言った。
「片岡さんは、なぜそこまで親身になって下さってるんですか?」
直人は腹を決めた。
「実は、結婚を前提に彼女と一緒に暮らそうと思ってます」
「驚いた!…まりあ先生、まさか同時進行でお二人とお付き合いしてたの?」
つづく
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