『はじこい』妄想ストーリー②
「ゆりゆり、夕食できたから熱いうちに食べよう!」
順子が匡平の部屋に入ってきた。
レポートを書く手を止めて振り返ると、フリルがいっぱいついた真っ白なエプロン姿の順子が立っている。
匡平は立ち上がり、ゆっくり順子の前まで歩いてきた。
「エプロン…」
「ん?なに、変?昭和っぽいとか言わないでょ」
匡平の手がスッと順子の口元に触れた。
「こ…こら、キスなんかしてたらご飯冷めちゃう…」
「ちげーよ…ついてる」
匡平は順子の口元についていたご飯粒を取ってパクッと食べた。
「ありがと…」
「ハンバーグとナポリタンじゃなかったっけ?白飯も用意したの?」
「いっぱい食べるかなって思って」
「…あんまり食欲ない」
「え?どうしたの」
順子の手が匡平のおでこに触れた。
「熱はなさそうだし、勉強しすぎじゃない?」
「どっこも悪くねぇよ」
匡平の顔が近くに迫った。
「春見が側にいると、胸がいっぱいになる」
「…ゆりゆり」
「ヒール履いてないと、やっぱちっちゃいね」
順子の頭をポンポンと触った。
「可愛いですね」
「……」
匡平が優しく包み込むように順子を抱きしめた。
「やっと、見つけたんだ」
「何を?」
「君を抱きしめる理由…」
完
『はじこい』ショートショートです。
また、思いついたら書くかもしれません。
主題歌『HAPPY BIRTHDAY』を聴きながら、ぜひ読んでみてくださいね。
いつもご愛読感謝します。
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