『はじこい』妄想ストーリー

「ごめんね!!ゆりゆり💦待った?」


順子が山王ゼミナールから走って出てきた。


「おっせーんだよ、いつまで待たせんの?」


「ごめんね💦怒ってる?」


「うっそー♪怒ってなんかないよ」


「てか、またそんな薄着して…」


「だってもう春だよ!」


「今日は花冷えって言ってたろ?天気予報も見てねぇのか?」


匡平がジャケットを脱ぎ、順子の肩に掛けた。


「いいよ💦ゆりゆりが風邪引いちゃう!私なら大丈夫だから!!」


「いいから着とけって」


「いくぞ」


匡平が順子の手を取って歩き始めた。


「ゆりゆりどこ行くの?映画?カフェ?お花見とか」


「今日は俺んち来てくんない?」


「え!?…私たち付き合ったばっかだし、まだ早いよ…」


「は?なに勝手に想像してんだよ。レポートあるから一緒に考えてくれない?先生」


「私はもうゆりゆりの先生じゃないし、レポートは自分でやんなさい」


「…言い方はまだ充分先生だけどな」


「仕方ないでしょ。この間までべったりゆり坊の先生してたんだから」


「子供扱いやめてくれよ」


「いいでしょ!ゆり坊ってあだ名気に入ってんだもん」


「…別にいいけど」


「じゃあ、ゆりゆりがレポートしてる間に夕飯作ってあげるね♪」


「ほんと?」


匡平が顔をほころばせた。


順子は、匡平が時々見せる少年のような笑顔が大好きだ。


「なにが食べたい?なんでも言ってね」


「じゃあさ、ハンバーグとナポリタンがいい」


「子供か!」


順子が匡平の胸の辺りにツッコミを入れた。


その手を掴んでそのまま順子を抱きしめた。


「だから…子供扱いすんなって」


匡平から唇を合わせた。


すぐに順子が離れた。


「ゆりゆり💦こんな道の真ん中で…」


「大学の教室でキスしてきたの誰だっけ?」


また匡平が唇を押しつけてきた。


順子はうっとりと、されるがままにしている。


ゆっくり離れた匡平が順子の髪を撫でながら言った。


「先生の唇、柔らかいね」


「私たち付き合ってるんでしょ?」


「そうだよ」


「先生って呼ぶのやめて」


「わかった。そのかわり俺のこともあだ名で呼ぶのやめろよ」


「ゆりゆりって言っちゃダメ?」


「だいたいそれ名字だし」


「そっか、じゃあ私のことも順子って呼んでね」


「……」


「ん?返事がない」


「やっぱいいや、今のまんまで」


「え!?」


「やっぱ春見がいい」


満開の桜の下で、ピンク色の髪がサラサラなびいた。


「好きだよ、春見」



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