『W旦那+(プラス)』 はじめてのおつかい⑱ 三代目妄想劇場 特別編
「たぁくん‼」
「ひーしゃん!?」
八百屋の前にベビーカーを押した満面笑顔の親子が立っている。
隆臣と同い年の友達、陽翔(ひなた)とその父親だ。
隆臣は丸イスから立ち上がり、陽翔の前に行った。
隆臣「ひーしゃん、どしたの?」
陽翔「たぁくん、こんにちは🎵しゃん代目今日持ってる?」
隆臣「たぁくん、おちゅかいだからね。
持ってきてないよ」
ここでいう『しゃん代目』とは、隆臣が初めて動物園に行った時に、陽翔とお揃いで直人に買ってもらったハムスターのぬいぐるみのことだ。
隆臣「ひーしゃん持ってるの?」
陽翔「いつも一緒だよ」
陽翔は自分のバッグからぬいぐるみを出してきた。
隆臣「ごっちゃん🐹ちゅー🎵」
陽翔が手にしたぬいぐるみに近づき、隆臣が軽くキスをした。
陽翔は太陽のようにコロコロと笑っている。
陽翔「たぁくんがチューしていいの?」
隆臣「いいのよ」
隆臣「でもホントはしゃん代目がいいよね?
ごっちゃん🐹」
隆臣がぬいぐるみの頭を撫でた。
「そこのお友達もメロンどうぞ🎵」
おかみさんが呼んでいる。
隆二「陽翔くんとパパだね、偶然通りかかったのかな?」
臣「これは渡りに船ってやつか?」
臣もまた思い直したようにソファーに座った。
隆二「臣、陽翔くんのパパがベビーキャリアで前に抱っこしてるのって…」
臣「あ‼直人さんが言ってたっけ?赤ちゃん生まれたって」
隆二「そっかぁ…」
健二郎「なんかゲスト増えてへんか?」
変装を終えた健二郎がリビングに入ってきた。
隆二「うえっ?ベタやなぁ💦健ちゃん」
健二郎「るせ!これやったら絶対バレへんやろ?」
臣「俺、絶対にバレると思う 笑」
健二郎「臣ちゃん、俺を侮ったらアカンで‼ほな行ってくるわ」
健二郎は白い大きな袋を肩から下げて、颯爽と出ていった。
隆二「またこてこての関西弁使ってるし…」
臣「多分、秒殺だよ」
「ミー…」
隆二「ん?ミルク全部飲んだね。お口拭こうか?臣、ウェットティッシュ取って」
臣「はい、隆子ちゃん🎵」
隆二「はい、ニャーにゃ🎵お口綺麗にしようね」
臣「…無視かよ 笑」
隆二「俺らの周り、ベビーラッシュ到来だね」
臣「そっか、がんちゃんとこももうすぐ…」
隆二「陽翔くん家、どっちだろね?」
臣「隆臣、初対面だな」
隆二「また、妹が欲しいって言い出さなきゃいいけど…」
臣と隆二は互いに見つめあっている。
臣「そんときは…そんときだよ」
二人の熱い視線を感じ取って、プロデューサーとディレクターが台本を団扇がわりにしている。
D「いやぁ、なんか暑いですねぇ💦」
P「ちょっとお水頂いてもいいですか?」
隆二「あ、冷蔵庫にミネラルウォーターが入ってるので、ご自由にどうぞ」
臣「用意しましょうか?」
D「あ、いえ‼どうぞお構い無く」
ディレクターが冷蔵庫を開けてペットボトルを2本取り出した。
D「あ、いい香りがする…カレーですか?」
隆二「ええ、臣が食べたいって言ってたから、圧力鍋に仕込んであるんです」
D「じゃあ隆臣くん…」
臣「カレー買ってこなくてもいいって…」
隆二「どうやって伝えればいいんだろね?」
つづく
2コメント
2018.12.09 02:12
2018.12.09 00:42