ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission 8-⑯
ゆっくりと病室のドアがスライドした。
俺はドアの中に立つ美しい白い影に声をかけた。
「恭介…聞いてたのか?」
「あの女の言うことなんて、真に受けるんじゃない」
「…そんな言い方、駄目だよ。恭介を産んだ女性(ひと)だろ?」
「産んだ…だけだろ?」
「恭介…」
恭介が俺の手首を持ち、病室の中へ導く。
ドアに鍵を掛け、立ったまま俺を抱きしめた。
「…別れるなんて…いうなよ」
近くに恭介の白い顔がある。
切れ長の瞳が心なしか潤んでいる。
「…見合い、断れないんだろ?」
「…ああ」
「結婚すんのか?」
「…聞くな」
「恭…」
壁際に俺を押し付け唇を重ねてくる。
いつか、この唇とも離れる日が来る。
ずっと先の事かもしれないし、
明日かもしれない…
「しばらく会わない方がいいね」
「……」
恭介は何も答えないまま、優しく俺を抱きしめた。
しばらく沈黙があって…やっと口にした。
「…終わったら連絡するから」
「…うん」
恭介の淀みのない瞳を近くで見つめながら、
アイツの…
臣の顔が脳裏をよぎる。
俺は…元の生活に戻って、
RYUJIは今まで通り、昼と夜のmissionをこなす。
…俺は、帰るべき場所に戻れるんだろうか?
「俺の腕の中にいるときは、別のことかんがえるな」
まるで、心の中全てを覗かれている気がした。
to be continued…
次回はmission 9 ~蜜月島~の章になります。
次の更新は、秋の気配を感じる頃に予定しています。
しばらくお待ちくださいね🙏✨
いつもご愛読ありがとうございます。
5コメント
2018.09.05 23:38
2018.09.05 08:32
2018.09.05 08:24